日銀 内田副総裁 “金融資本市場が不安定な時の利上げはしない”
日銀の内田眞一副総裁は、北海道函館市で講演し、おととい5日に日経平均株価が4400円以上下落するなど、市場が不安定になっていることを念頭に「金融資本市場が不安定な時の利上げはしない」と話しました。 内田副総裁はきょう午前、函館市の地元の経済関係者に対して講演しました。この中で、日本の経済について「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」という認識を示した上で、「およそ30年ぶりの賃上げが、実際の賃金にも徐々に反映され、個人消費は底堅く推移すると考えている」と述べました。 また、内田副総裁は、前回7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げたことについて「リスクの観点からも、消費者物価が2年以上にわたって2%を上回って推移する中で、0から0.1%よりも、0.25%程度の金利水準の方が、よりリスクに中立的で、適切であると判断した」と説明しました。 こうした日銀の利上げの影響を受けて、一時161円台に達していた歴史的な円安が修正されたことについて、「円安が修正された結果、輸入物価を通じた物価上振れのリスクは、その分だけ小さくなった」と指摘しました。そのうえで「日本の場合、一定のペースで利上げをしないと金融政策が後手に陥ってしまうような状況ではない。したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」として、株価の乱高下が続くような市場が不安定な中では、早期の追加利上げを否定しました。 けさから円相場は1ドル144円後半から145円程度で推移していましたが、内田副総裁の講演を受けて、円は急落し、一時147円を付けました。