センバツ高校野球 慶応、春の夢舞台 チーム力で日本一へ(その2止) 5年ぶり10回目出場 /神奈川
27日に大阪市内で開かれた第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、昨秋の関東地区大会で4強入りした慶応が選ばれた。2018年以来5年ぶり、10回目の出場となる。組み合わせ抽選会は3月10日にある。18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕し、出場36校が熱戦を繰り広げる。【田中綾乃】 学ラン姿の選手たちは、高校内のホールで選考委員会の様子が映し出されたライブ配信動画を大型スクリーンで見守った。会場内は張り詰めた空気だったが、関東地区4番目の選出校に「慶応」の名前が呼ばれると、隣の選手たちと笑顔で目を合わせて喜びを共有した。 選手たちの興奮が冷めやらぬ中、阿久沢武史校長が「夢の舞台で慶応の野球を存分に見せてください」と激励。大村昊澄(そらと)主将(2年)にグータッチでエールを送った。 直後の記者会見に臨んだ森林貴彦監督は「甲子園という大きな舞台で、より成長する機会を頂けたことに感謝し、喜びも感じている。実力が足りているのかという危機感をバネに、残りの2カ月を有効に使い、(モットーの)エンジョイ・ベースボールの進化した姿を皆さんにお見せしたい」と意気込んだ。大村主将は「日本一を取り、高校野球の新しい常識を作りたい。選ばれたことに満足するのではなく、残された時間で少しでも成長したい」と語った。 昨秋の県大会や関東地区大会で好投し、センバツ出場に大きく貢献した小宅雅己投手(1年)は「ほっとしたと同時に挑戦したいという気持ちも強く感じた」と既に前を見据えていた。小技も使え、長打力もある元プロ野球選手の清原和博さんの次男・勝児選手(同)は「夢の舞台でプレーできることをうれしく思う。チームを勇気づけるプレーをしたい」と語った。 ◇「実感わいてきた」特別号外を配布 慶応の選手がセンバツの選考委員会の様子をライブ配信動画で見守った高校内のホールでは、選出が決まった直後、毎日新聞特別号外が配られた。「春切符」の見出しがおどる紙面を開き、熟読していた。 矢崎悠斗さん(2年)は「選ばれた時はほっとした気持ちが強かったが、号外を読んで改めて実感がわいてきた」と笑顔で話した。【田中綾乃】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇慶応 1858年に福沢諭吉が開いた蘭学塾(後に慶応義塾と命名)を起源とする私立男子校。戦後に公布された学校教育法に基づき、1948年に「慶応義塾第一高校・第二高校」として設立された。49年に統合され、現在の校名に。今年で開校75年を迎える。俳優の故石原裕次郎さんや歌手の加山雄三さんら各界へ多数の人材を輩出している。生徒数は2200人。 新制高校野球部は48年に創設。「甲子園」出場は旧制中学時代を含めこれまで春9回、夏18回で、春の最高成績は60年と2005年の8強。野球部OBに阪神の山本泰寛選手、ソフトバンクの正木智也選手らがいる。 所在地は横浜市港北区日吉4の1の2、阿久沢武史校長。