「いつもと違うむくみ」は腎臓病のサインかも 今すぐ受診すべき症状とは? 内科医が解説
腎機能の低下は特徴的な自覚症状がほとんどなく、症状がどんどん進行していくことが知られています。一方で初期症状としてむくみや倦怠感などの症状が出ることもあり、その時点で適切な治療を開始することで症状の進行を食い止めることができる場合もあります。 では、どのような症状が現れたら病院を受診すれば良いのでしょうか? 今回は腎臓病の早期発見のための初期症状の見定め方などについて、東池袋きむら内科クリニックの木村先生にうかがいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
体・手足のむくみが気になる? どんな状態がむくみ? 症状や原因について
編集部: 「むくみ」とは、どのような症状のことを言いますか? 木村先生: 簡単にいえば、血管に吸収されなかった水分が皮膚の下に溜まっている状態のことをいいます。「浮腫(ふしゅ)」とも呼ばれ、顔や手足に生じやすいとされています。 編集部: 夕方になると靴がきつくなったり靴下の跡がくっきり付いたりするのも、むくみのためですか? 木村先生: はい、それもむくみの影響です。特に座りっぱなしの人の場合は重力の影響で足に血液が下がりやすく、血流が悪くなって足がむくみやすくなります。 編集部: むくみの原因はなんですか? 木村先生: むくみの原因にはさまざまなものがあります。例えば病気が原因となるものとして、深部静脈血栓症や静脈瘤など血管の疾患や、腎臓、心臓、肝臓、甲状腺など内科的疾患が考えられます。 そのほか、病気ではない原因として長時間同じ姿勢でいることや、運動不足、冷えなどもむくみと関係します。またアルコールや塩分の取りすぎでもむくみが起きることがあります。
足や顔がむくむ・むくみやすい原因は腎臓病? 内臓疾患がむくみを招く可能性もある?
編集部: では、むくみにはどのようなタイプがあるのですか? 木村先生: むくみのタイプにはさまざまあります。まずむくみがどこにあらわれるのかという観点でいえば「全身がむくむ」ということもありますし、「顔や手足など、体の一部がむくむ」ということもあります。 それから、むくみの持続時間の観点でいえば、「一時的にむくむ(指で押せばすぐに戻る)」こともあれば、「指で押しても戻らない」ということもあります。 編集部: 気をつけたいのはどのようなむくみの場合ですか? 木村先生: 注意したいのは、全身にむくみが出る場合です。静脈瘤や深部静脈血栓症のような血管の疾患の場合は、むくみがあらわれるのは下半身だけなど局所的であったり、また右足だけや左足だけなど片側的であることがほとんどです。 しかし、心臓、肝臓、腎臓、甲状腺などに原因がある場合は顔、手、足など全身がむくむことが多いのです。それから、指で押してもなかなか元に戻らないといった状態も内科的疾患の可能性があるので、注意が必要です。 編集部: 具体的に、どのような疾患が考えられるのですか? 木村先生: 心臓であれば心不全、腎臓であれば腎不全、肝臓であれば肝機能の低下が考えられます。また、甲状腺機能の低下が原因でむくみを起こすことも少なくありません。 編集部: そのなかで特に注意したい疾患は何ですか? 木村先生: むくみの原因疾患として多いのは腎臓病です。なぜ腎機能が低下するとむくみが生じるのかというと、腎機能が衰えると血液をろ過して尿として排出することができなくなるためです。全身にむくみを生じさせやすく、肺や心臓に水が溜まることもあります。