ブランパンの躍進を支えた2000シリーズ【昭和&平成の隠れた名作:Vol.17】
現行の実用性と、ヴィンテージに通じるコレクター性を兼ねそなえた1980年代から90年代のポストヴィンテージモデル。現行とは異なるサイズ感、デザインに加え、オートメーション化が徹底された現行モデルに比べて、ディテールの作りに手作りの質感を残しているのもその魅力といえる。今回紹介するブランパンの2000シリーズニュークラシックも、文字盤やケースのディテールにそんな手作りの美点を見いだすことができるポストヴィンテージモデルのひとつだ。 【2000シリーズニュークラシックをもっと見る】 ブランパンは1735年、スイスの時計師ジャン・ジャック・ブランパンが創業したスイスを代表する名門ブランドのひとつ。数ある時計ブランドのなかでも世界最古といわれるブランドなのだが、1970年代のクォーツショックの際、市況の影響と創業家の断絶による壊滅的な打撃を受けて1970年に倒産。81年にジャン・クロード・ビバー(現ウブロCEO)、ムーヴメントメーカーのフレデリック・ピゲの社長ジャック・ピゲの主導のもとでSSIH(後のスウォッチ グループ)が買収したことで81年に復活を遂げる。 その後は、84年から89年にかけて、シックスマスターピースと呼ばれるコレクションを発表。ウルトラスリム、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンドクロノグラフ、トゥールビヨン、ミニッツリピーターと、毎年1モデルずつ時計を製作し、91年にはこの6モデルの機能をひとつの時計に収めたグランドコンプリケーションを集大成として発表。機械式時計の工芸品的価値を市場に再提案する立役者となった。
BLANCPAIN(ブランパン) 2000シリーズニュークラシック 90年代のブランパンを代表するスタンダードコレクション。植字されたブレゲ数字のアプライドインデックス、鋭角にシェイプされた時分針など、職人が手工芸的な方法で仕上げたパーツに高級時計らしい質感が宿る。伝統的な作りを継承する一方で、スモールセコンドとパワーリザーブインジケーターを重ねたモダンな意匠を違和感なく取り入れている点も特徴のひとつ。ムーヴメントは100時間パワーリザーブを誇るフレデリック・ピゲ製のCal.1106を搭載しており、クラシックとモダン、美観と機能性を両立した、90年代の隠れた秀作といえるだろう。