勤続20年で退社した元フジ・石本沙織アナ「自分の居場所探しに必死だった」コンプレックスを払拭した大塚アナからの「ひと言」明かす
そのあと番組から「1回、出てもらえるかな」と打診がありました。「歌は大好きなのでやります」と引き受けて最初に歌ったのが、椎名林檎さんの『本能』でした。ナース服を着て出演したのですが、そこから毎回レギュラーのように出させていただいていました。 でも、ひとりで出ているとだんだんネタもなくなってきたので、後輩の高橋真麻を道連れにしたんです(笑)。そこから「あのふたりがおもしろい」と言われて、「草彅剛の女子アナスペシャル」の「女子アナ歌が上手い王座決定戦」の出演にも繋がっていきました。当時、自分の立ち位置に悩んでいた高橋真麻はいまだに「石本さんがいてくれたおかげで今の私がある」と言ってくれています。
■フジテレビ退職の理由 ── 順風満帆な局アナ生活にも見えますが、去年、20年間勤務したフジテレビを退職しました。辞めることに未練はありませんでしたか。 石本さん: 未練を残したくなかったのですごく考えました。 現実的な問題として、会社員を辞めたことで失う安定的なお給料や厚生年金などの心配はしましたが、 それと自分の身体、家族、今後の人生などを同時に考えて抜いて出した結論です。
20年間、会社員として勤めたので、これから先はちょっと違う自分というものも探してみたかったというのがあります。自分の足で歩いていくという経験もしてみたいと思っていました。 ── いつ頃から考えていたんですか。 石本さん:さかのぼってみると、就職した時には漠然と思っていました。周りからは意外だと言われるんですが、もともと、定年まで働くという未来は自分のなかで描けていなかった気がします。 ── 勤続20年、ぴったりで退職したのは、何か理由がありましたか。
石本さん:せっかく採用していただいて、ここまで育てていただいたのに、いきなり辞めてしまうのは違うと思っていました。これから管理職になっていくかどうかのタイミングでもあったので、20年の区切りで退職することにしました。 ちょっと壮大な話になるんですが、人生80年として、これからその残りおよそ半分を生きていきます。ここからの折り返しの人生は、もっとさまざまな経験をしてみたい。アナウンサーは、いろんな経験ができる仕事なので、本当は贅沢なことなのかもしれません。でも一度、局のアナウンサーということも、もっと言えばアナウンサーという職業自体も置いてみて、違う自分を見てみたいという思いが強くなり、退職を決意しました。
PROFILE 石本沙織さん 1980年富山県生まれ。早稲田大学を卒業後、2003年フジテレビ入社。「めざにゅ~」「めざましテレビ」「とくダネ!」「FNNスーパーニュース」「イット!」など、報道・情報番組を中心に活躍し、バラエティ番組で歌唱力を披露する機会も。2019年より逗子市に移住。2023年3月末でフジテレビを退社。 取材・文/内橋明日香 写真提供/石本沙織
内橋明日香