「トルドーさんの料理は2倍の量で」30代で下足番からキャリアをスタートさせた老舗料亭の“養子さん” 村田知晴さん(43)が、広島サミットで料理をつくるまで
――気づかれない方も? 村田 もしくは気づいても声をかけられない方も。僕自身も靴が好きなので、男性の革靴の水気をとって、ソールの泥だけ少し落として置いておくと、帰りにそれをちらっと見られて、「さすがだね」って言ってくださる社長さんとか会長さんとか。 そういうことが、工夫次第でできる部署なんです。下足番はひとりでやらないといけないから、自分なりの工夫がお客さんに伝わって「ありがとう」と喜んでいただけると、自分のなかでなにかが決まって、すっごく気持ちがいいんですよ。伝わったっていう感覚があって。 ――先ほど玄関から外に出るとき、靴の左右をちょっとあけて置いてくださっていて、いいなあって。 村田 それもね、やっていると気づくんですよ(うれしそうに)。ぴっちり揃えて置いておくと、履きにくいでしょう? ――今日のお話のなかで、一番いいお顔をされています。 村田 下足番は面白いですよ。僕、いまでも下足番やりたいですもん。ものすごく勉強になります。料理人になる人は、絶対下足番やったほうがいいと思います。 そのときは商社の営業的な頭しかなかったということもありますが、お客さんと話をして、しっかり向き合うと、自分の会社がどういうものかすごくよくわかるんですよ。だから、どういう人がこのお店に来るのか見ておかないと、後々(経営者としての道を)踏み外すなっていう気持ちはありました。 だって、一食何万円もするんですよ、ごはんを食べるだけで。どんな人が来られるのかなって、気になりません? 僕は(料亭に)行ったことがなかったですから。
新婚旅行がわりに、ロンドンに語学留学
――下足番はどれくらいされたんですか? 村田 1年半ほどやって、その後、けっきょく全部の部署を回りました。まずは経理でお金のことを、それから帳場といって予約をとる部署があるんですが、本店で予約をとるだけでいまは5人の正社員がいまして。そこでお客さまからの電話やメールの受付を担当して、そのあとロンドンに行ったのか。 ――ロンドン? 村田 「英語をしゃべれるようになれ」って大将に言われて、新婚旅行がわりにということで、ロンドンに4カ月の語学留学に。僕と妻とふたりで。 蓋を開ければ、旅行でもなんでもなくて、月曜から金曜の朝9時から夕方5時まで、語学学校にふたりで通ってたんですよ。電車とバスを乗り継いで。
【関連記事】
- 【もっと読む】「お見合い50回しても結婚が決まらないんだったら僕が…」元・商社マンの村田知晴さん(43)が京都の名料亭に婿入りした理由
- 【画像】30代で下足番からキャリアをスタートさせた老舗料亭の“養子さん” 村田知晴さん(43)の写真をすべて見る
- 「葛藤もあったし、哀しいし、さみしかった」両親、妻をがんで亡くし3人の子育て…笠原将弘(51)の”壮絶すぎる料理人生”
- 81歳ひとり暮らしの父がラブホテルから救急搬送、いったい誰と…? 息子が驚愕した“老いた親の性生活”
- 桜蔭→慶應医学部→モルガン・スタンレーを3カ月で退職…超エリート女性(24)が年収も地位も捨てて南房総で“年間100万円以下の生活”を始めたワケ《23歳でサイドFIRE》