出直し市長選になれば「立候補したい」 市議会解散に打って出た大阪・岸和田市長
立花氏は今回の問題の過程で「永野氏から連絡を受け、言うべきことはしっかり言った方がいいと話した」と取材に明かした。永野氏は立花氏との関係について「電話でのやり取りはあったが、相談はしていない」と語った。(藤原由梨)
■女性問題巡り解散は異例
不信任決議を受けた首長が議会を解散させるケースは全国でも見られるが、女性問題で解散にまで至るのは異例。有権者の負託を受けた議員を任期途中で失職させるだけに、重い決断といえる。
総務省によると、市区町村の首長に対し議会が不信任案を可決した事例は、平成26年度~令和4年度で10件。このうち7件で首長が議会を解散し、改選後の議会で再度不信任案が可決され失職したのは5件となる。
不信任決議の理由の多くは行政の混乱や議会との関係悪化などだ。奈良県宇陀市では令和2年、市が保有する宿泊施設の指定管理を巡り、市と議会が対立。当時の高見省次市長は不信任決議を受けて市議会を解散し、改選後に再度不信任を決議され失職した。
一方、群馬県みなかみ町では平成30年、当時の前田善成町長のセクハラ疑惑で町議会に不信任案が提出され、1度目は否決されたものの、2度目の提出で可決。前田氏は町議会解散に踏み切り、こちらも改選後に再度不信任決議を受けて失職している。
岸和田市では来年1月26日告示、2月2日投開票の日程で市議選実施が決まった。市選挙管理委員会によると、昨年4月の統一地方選で実施された市議選の費用は約7300万円。担当者は「人件費や資材価格が高騰しており今回はさらに膨らみそうだ」とみる。(山本考志)
■やらなくてよい選挙になる恐れ
地方自治の仕組みとして首長も選挙で選ばれているため、議会側が簡単に不信任決議案を成立させるのは適切ではない。そのために、不信任決議には3分の2以上の議員が出席し、その4分の3以上の賛成が必要という高いハードルが課せられている。
今回の市長の問題は個人的なものではあるが、首長は地方自治体を代表する立場だ。市長にふさわしいのかどうかという点で、少なくとも議会側としてはふさわしくないと判断し、決議要件のハードルをクリアして不信任を可決した。議会側の判断には説得力があるといえる。
岸和田市議選は昨年4月に行われたばかりで、まだ2年以上任期が残っていた。議会解散による改選後の市議会では、過半数の賛成で不信任を決議でき、その場合は市長は失職して、市長選が行われることになる。そうしたことを考えると、やらなくてもよい市議選をやることになる恐れがあるのではないか。(聞き手 前原彩希)