「俺を見下した奴は死刑!」「自分だけ幸せになるなんて許せない」「未来を奪ってやりたい」高学歴ゆえに抱えるプライドとルサンチマンが生み出した犯罪
「自分だけ幸せになるなんて許せない」突然ストーカーに豹変──三浦百合(30代)
鈴木誠(30代)とは友達の紹介で知り合いました。当時、女友達は皆、結婚してしまったので、私も結婚相手を探していたんです。誠はポスドクの身分でしたが、私は看護師をしていて給料もあるし、誠の研究には興味があったので、結婚を前提にお付き合いを始めたんです。 ところが煮え切らないのは誠の方で、私は30代で子どもを産みたいし、もう待てないと別れを切り出したんです。誠はそれなら仕方がないと、それ以上、何も言いませんでした。 私は心のどこかで、「わかった、じゃ、結婚しよう」と言ってくれると信じていたのに……追いかけてきてくれることはありませんでした。3年半くらいのお付き合いだったと思います。 私は半年後、ようやく新しい交際相手を見つけることができ、1年後に結婚しました。相手は病院で知り合った医師です。 ある日突然、私が勤務している病院に私を誹謗中傷する内容の手紙が届きました。 そこには、私が不倫をしているなどといったありもしない内容が書かれていたのです。嫌がらせの手紙は、職場だけでなく自宅にも届くようになりました。私は、犯人は夫の関係者じゃないかと疑っていました。しかし、夫は全く心当たりがないと言うし、確かに堅物で、女性とトラブルになるような人ではなかったのですが……。 無言電話もかかってくるようになり、警察に相談しようか迷っていたところ、近所の方が、 「ポストにこんなものが……」 といきなり訪ねて来られたんです。そのビラには、私を中傷する内容が書かれていました。 「誰がこんなこと!」 私は驚きました。 「男の人みたいよ。昼間にうろうろしている人を何人かが見てるから。早く警察に相談した方がいいですよ」 私たちは弁護士に相談し、探偵に依頼することにしました。すると、すぐに自宅付近によく現れている人物が特定されたのです。その人物は、誠だったのです。 夫は元恋人のストーカー行為に対して、甘い対応はしないほうがいいと言い、私は警察に行くことにしました。別れを切り出しても何も言わなかった誠がなぜ、1年半も経ってからこんなことをするのか、その理由を知りたいと思いました。 弁護士の話では、誠は私に対し「自分だけ幸せになるなんて許せなかった」と話していたそうです。事件を起こす前の彼は、精神のバランスを崩していて、仕事にも行っていなかったようです。釈放された後、彼は自ら命を絶ちました。 夫には言えませんでしたが、私はとてもショックでした。あの時、別れるなんて言わずに、側にいてあげたらよかったのに……と、今でも後悔が込み上げてくることがあります。不器用で、プライドが高い誠の性格を理解してあげられる人はそういないでしょう。ひとりにさせてはいけなかったんです。後悔してもしきれません……。