【紀州のドン・ファン】元妻は野崎氏に覚醒剤を飲ませたのか、被告人質問で見えた早貴被告による反論の「綻び」
■ お手伝いさんを「私の悪口ばっかり言っている人」 公判では検索履歴についても被告は弁明している。検察の冒陳では、野崎さんとの結婚後に「完全犯罪」「覚醒剤 過剰摂取」などと犯罪に関するワードを繰り返し検索していたことが明かされていた。 弁護人「普段、ネットでどのような検索をしている?」 早貴被告「昔から殺人事件とか、グロテスクな不気味な事件の動画を見るのが好きでした」 弁護人「知り合った後も『猟奇的殺人』『溺死』などを検索している。これらを検索したのはなぜ」 早貴被告「特別な理由はありません」 弁護人「(2018年)3月31日には『老人 死亡』と検索している」 早貴被告「直前に老人ホームで3人が転落死させられた事件に関する動画を見ていた。それが影響している」 この日は自身が犯人視されていることへの不満の言葉もあった。これまでの公判で、お手伝いさんの大下さんは健康状態がすぐれず出廷しなかったが、その供述調書が読み上げられた。その中には事件当日について「(早貴被告は)普段は2階にいるが、この日は1階にいて不思議だった。何度か催促してようやく2階へ行った」などの発言があった。 弁護人「検察側はこの供述調書を『中立的』と紹介している」 早貴被告「私の悪口ばっかり言っている人を中立的と紹介するのはアンフェアだなと。家政婦は噓をついている。私を陥れようとしている」
この言葉にマコやんは憤る。 「大下さんが出廷できないことが分かって、早貴被告は大下さんに対して『言いたい放題』に舵を切ったのだと思います。大下さんが供述していた内容は事実です。ボクも何度も聞いたことですから、それを否定するのは意外でした。客観的に見て事実を言っているので大下さんの供述は中立的だったと思います。 それよりもアンフェアだというのなら、覚醒剤を購入していたことをわれわれに内緒にしていた彼女のほうが絶対にアンフェアです。 生前の社長が『ワシが亡くなったら大下さんには1000万円をあげる』と言っていたことはアプリコの従業員なら誰もが知っていることですが、社長が亡くなった2日後に突然、早貴被告が『社長は大下さんに3000万円あげてくれと言ってました』と大下さんに伝えています。おそらく自分に不利になるようなことは取り調べで供述しないでほしいという口止め料のつもりで出た発言ではないかと思います。ところが大下さんは、自分が見たままのことを供述していた。それにもう証人尋問に出てこられるような健康状態でもなさそうだ、ということで、大下さんがデタラメな供述をしていると主張し始めたのでしょう」 残る被告人質問は15日の裁判所側だけのものになった。どうやら検察側の切り札は「覚醒剤の売人の証言」と「健康アプリに記録された死亡当日夕方の早貴被告の異常な行動」の2つだったようだ。それを補強するために28人もの証人を呼んだのだろう。 ただ、早貴被告が野崎氏に覚醒剤を飲ませたという直接証拠はないのは事実だ。15日の被告人質問でどのようなやり取り流されるのか。そして一連の証言と証拠を、裁判官や裁判員たちはどのように判断するのか。裁判は最後の山場を迎えることになる。
神宮寺 慎之介