【特集:最新の日産GT-Rとポルシェ911は何が楽しいのか?後編】プレミアムエディションTスペックとカレラT「細部からわかるそれぞれの本質」
レッドゾーンまでスムーズで自然に吹き上がっていく
最新の日産GT-Rとポルシェ911、それぞれの楽しさは、ワインディングでさらに際立つ。といえば、日本とドイツを代表するスポーツモデル2台が備えている真意を、さらに感じ取ってみた。(Motor Magazine2023年12月号より) 【写真はこちら】「やはりスポーツモデルには、表現力豊かなエンジンの持ち主こそが相応しい」と感じた(全22枚) ワインディングロードへと差し掛かり、右足をより深く踏み込むと、ともに2基のターボを備える6気筒エンジンながらそのフィーリングが両極端と思えるほどに異なることも鮮明になった。 いま、クルマを運転する際の変速操作を楽しむことの価値が改めてクローズアップされているが、最新の911で7速MTが標準仕様となる911カレラT。ちなみに8速DCT(PDK)仕様も同価格で設定されている。 こちらは、うっかりするとターボ付きであることを忘れてしまうほどに低回転域から自然なトルクが立ち上がる。 同時に、一切の頭打ち感などなくメータークラスター内の中央に唯一リアルな機械式として残されたタコメーター上に引かれた7400rpmというレッドラインまで、スムーズで自然に吹き上がって行くのが911の魅力だ。 さらに、洗練された操舵感は最新ポルシェならではのもの。カレラTは後輪駆動モデルなので、よりピュアなハンドリングを実感することができる。
強大なトルク感とともに力強くエンジンが応える 一方、GT-Rに搭載されるVR38DETT型3.8L V6DOHCツインターボエンジンは、3000人以上が働く日産の横浜工場で5名しかいないという「匠」の称号を持つトップエンジニアがひとりで1基ずつ組み上げたもの。 エンジン前端には「匠」の名が入った専用プレートが装着されている。取材車のプレートには「市川裕之」氏の名が刻まれていた。 こちらは典型的なターボ付きスポーツエンジンという印象。3.8Lという大排気量ゆえ、過給に頼れない低回転域でもそれなりのトルクは発してくれるが、真の力強さが欲しいのであれば少なくとも3500rpm程度はクリアしておきたい。 そこから1000rpmほどを積み増せば、まさに爆発的なパワーが放出され、フロント255、リア285とファットな20インチのランフラットタイヤのトレッドを路面に食い込ませるようにダイナミックなコーナリングを演じることになる。 もっとも、専用セッティングのサスペンション、そしてカーボンセラミックブレーキシステムを標準装備するTスペックは、ハンドリング面では着実に改善されてはいるの、路面にある轍などの影響を受けるワンダリング現象はこの2024年モデルでも感じられる。 タイヤは、ハイグリップ志向のダンロップ SPスポーツ MAXX GT 600 DSST(ランフラットタイヤ)だ。