中国のEV過剰生産「政府補助で強引に普及」 キヤノングローバル戦略研の杉山大志氏
13日にイタリアで開幕する先進7カ国首脳会議(G7サミット)で主要テーマとなる中国企業の電気自動車(EV)などの過剰生産を巡り、中国の呉江浩駐日大使は一部報道で「(EVなどの)新エネルギー産業に過剰生産は存在しない」と否定した。これに対し、環境・エネルギー分野に詳しいキヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は産経新聞のインタビューで「政府が補助を出し供給力を増やしているのは事実」と指摘した。杉山氏との一問一答は次の通り。 ――呉氏は6日付の日本経済新聞への寄稿で、中国で過剰生産されたEVなどが海外に安価で輸出される問題を否定した 「中国政府が陰に陽に補助を出し、EVや太陽光発電、風力発電の供給力を上げているのは事実だ。中国国内でも補助で強引に普及させている。それで価格が下がり、世界で売れている」 「呉氏は台湾との関係を巡り、中国の分裂に加担すれば『日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる』と発言した。取り消しも謝罪もない。何を言っても(日本の)反中感情を高めるだけだ」 ――中国側は中国のEVなどの産業が市場競争で発展したとしている 「呉氏は不公正ではないと訴えている。ただ中国政府は不公正な格好で莫大な補助を与えているといわれる。中国勢は世界中で価格を暴落させ、潰れたり、業績不振に陥ったりしたライバル会社を買収し、技術を手に入れていると指摘される」 ――米国は中国製EVなどの関税を引き上げるが、日本はどうすべきか 「関税も有効だと思うが、日本国内のEVや太陽光に対する補助金をなくせばいい。そうすれば中国製品も入ってこない。EVは中国での製造過程で二酸化炭素(CO2)を出し、日本で走る際も火力発電の電気で走っているようなもので、CO2削減になっていない。太陽光も広がりすぎて、電気が余った際は捨てている。いずれも今、推進する必要はない」(聞き手 中村智隆)