声優・大山のぶ代さん死去 90歳、9月29日に老衰で 「ぼく、ドラえもん」四半世紀いつもそばには〝あの声〟
2001年に直腸がん、08年に脳梗塞を発症したが克服。しかし、脳梗塞の患部が記憶をつかさどる部分のため、次第に物忘れがひどくなった。13年頃に認知症を発症し、砂川さんが15年、ラジオで公表。献身的に看病を続けたが、17年7月19日、尿管がんのため死去。53年の結婚生活にピリオドが打たれた。
おしどり夫婦として知られた2人。砂川さんは息を引き取る1カ月ほど前、病床でマネジャーに「すまない。妻を頼む」と言い残した。その後、大山さんは見舞いに訪れた際、「啓介さん、頑張って」と励ますなど亡くなるまで夫として認識していたようだ。別の関係者によると、砂川さんの葬儀が始まる前に車いすで焼香に訪れたという。
大山さんは夕刊フジのインタビューに対し、かつて子供たちに伝えたいことを聞かれたことがある。その際、「人は1人では生きていけない。支え合う気持ちを持ってもらいたい」と提言。「携帯、メールと便利になりすぎて、お互いの目を見て話さないのは駄目。何かのとき、友達っていいなと思ってほしい」と話していたという。
世の中の子供たちの母親のような存在でもあった大山さん。ドラえもん作品の中で、これからも生き続ける。
■大山 のぶ代(おおやま・のぶよ)
1933(昭和8)年10月16日生まれ。東京都出身。都立三田高卒。57年、高校在学中から通った劇団俳優座養成所を卒業し、前年の56年にNHKドラマ「この瞳」で女優デビュー。声優としては「ドラえもん」「のらくろ」などで活躍した。2007年に音響芸術専門学校の校長に就任し、後進の指導に尽力。初代司会を務めたフジテレビ系「夕食ばんざい」など料理番組への出演も多く、料理関係の著書も多かった。夫の砂川啓介さんとは舞台共演がきっかけで1964年に結婚した。