池内博之、アジア映画の現場は「とにかく待たされる(笑)」 海外経験で「器が大きくなった」
農業を経験で心身をリフレッシュ「デジタルデトックス」
――ここ数年で池内さんはアジア圏の作品に出演することも増えました。日本との違いを感じることはありますか。 「撮り方や労働時間などは全く違いますね。作品づくりの中で、すごく時間をかけて撮るイメージがあります。ワンシーンに1日かけることもありますね。普通だったらサラッといきそうな部分も細かくやっていて、カットがかかったら『池内、来て』とモニターを確認して、『あなたの演技はこうだから、もうちょっとこうして』と何回も撮り直したり。 なかなかハードで、何回も同じことを繰り返すと新鮮さもなくなってくるので難しいんですよね。(北野)武さんみたいに、そこにある緊張感を集中させて、1発でOKみたいなパターンとはちょっと違う。良し悪しはなんとも言えないですが、その辺りが違うなと思います」 ――海外作品を経験して、ご自身の成長や変化を感じる部分はありますか。 「とにかく待たされるんですよ(笑)。朝に入って、夜までずっと待たされて、撮らないとか。扮装終わってもずっと待ってる。そんなのざらでしたね。でも、そこでフラストレーションを溜めていてもいいことないので、そういうもんだと割り切ってやるようにしました。器が大きくなった気がしますね。 国民性もあるとは思います。日本は何をするにしてもきっちりしていますよね。向こうでは『何時に入って』と言われて、行ったら誰もいないとかありましたからね(笑)。撮影が中止になったことを誰も伝達してくれなかったんですよ。最初の頃、日本の感覚でやっていると、『え、なんでこうなっちゃうの?』と思っちゃうんだけど、だんだんそれにも慣れていきましたね。そういうもんなんですよ(笑)」 ――ここ数年で農業などスローライフを送る様子も発信されています。役者とは異なる一面を出していこうと思ったのはなぜでしょうか。 「始めたのは7、8年ぐらい前でしたね。きっかけも別に大したものではなくて、友達がシェア畑みたいなのを始めて、『やらない?』と誘われたのが始まりでした。それで教わりながらずっと続けている感じですね。その友達はなぜかもうやめちゃってます(笑)。 土を触ったりすることって、都会にいるとなかなか経験しないですし、僕自身もそういうことをするとは思っていなかったです。でも、自分で育てたものを収穫して食べるって楽しいんですよ。ものすごいパワーのあるものを体に入れている感覚で、『絶対体にいいんだろうな』とか。土の上に裸足でいる感覚も普通に生活していたら味わうことがないので『こういうのも体にいいのかな~』とか。デジタルデトックスってよく言うじゃないですか。そういう感覚もありますね」 ――役者業に影響することなどはありましたか。 「直接的に何か左右されることはないですね。でも、自然と向き合って生きている人って、人間として大きくて、すてきな人が多いというイメージがあって、僕は昔からそういう人に憧れていたんです。そういう憧れがあったから、僕も始めたのかもしれないですね。だから、人間として当たり前のことを感じる大切さ、雨が降ることに感謝したり、そういうことが大事なんだなと感じるようになりました。そういったことがもしかしたら役者にもつながっている部分はあるかもしれないです」 ――今後に向けて役者としてのビジョンはございますか。 「まだまだやりきったとは思っていないので、日本でも海外でもご縁があればいろいろやっていけたらいいなと思っています。ハリウッド映画にも出演してみたいですね。何度かオーディションも受けてるんだけどね。なかなかハードルが高いです。もっともっとやっていきたいですね」 ヘアメイク:シンヤ
中村彰洋