県ふるさと納税、前年比9倍ペース 11億円台、86%災害支援 1~10月 震災、豪雨で急増
県へのふるさと納税が急増し、今年1~10月の寄付額が前年同期の9・1倍となる11億2357万円となったことが分かった。能登半島地震を受けて導入した、返礼品なしの「災害支援」に寄付が集中し、全体の86%(9億6563万円)を占めた。地震があった1月に単月で最高の4億8996万円が寄せられたほか、奥能登豪雨が発生した9月も例年を大きく上回った。年末にかけて駆け込み申請が増えるとみられ、12億円を突破する可能性もある。 県へのふるさと納税の寄付額はこれまで2022年の3億7238万円が最高で、今年は1月末の時点で上回った。 1~10月の寄付額と件数を月別に見ると、1月が2万5094件で5億円近くに上ったほか、3月が4億2326万円(1万8238件)で2番目に多かった。本来は県が行うふるさと納税の事務手続きを県外の自治体が代行する「代理寄付」が広がり、代行分の寄付額が年度末の3月に計上されて数字が跳ね上がったという。 4月以降は寄付ペースが鈍化し、1千万円前後で推移。8月は722万円(252件)と1千万円を下回ったが、豪雨が発生した9月に5347万円(2211件)と一気に増え、10月も4097万円(1527件)と高水準を維持した。 県によると、県内19市町へのふるさと納税の寄付額は、今年1~9月で総額84億2600万円(前年同期比2・8倍)となっている。 県は、申請が急増する年末に向け、県外にある石川県人会などの組織を通じて寄付への協力を呼び掛けている。担当者は「多くの人に復旧復興の必要性を伝え、災害の風化防止にもつなげたい」と話した。 県内自治体のふるさと納税を取り扱うポータルサイトの運営会社では、地震から1年の節目に合わせ、あらためて被災地にスポットを当てる動きが出ている。 業界大手の「さとふる」(東京)は被災地応援の特集ページをリニューアルする予定で、より利用者の目に留まりやすくする。同社広報グループの谷口明香さん(37)=珠洲市出身=は「ふるさとの復興に向け、少しでも支援が広がるよう環境を整えたい」と語った。