巨人の菅野はV字回復できるのか?
巨人のエース、菅野智之投手(26)に異変が起きている。6月10日のソフトバンク戦から3連敗。6月24日の横浜DeNA戦では、球威もなく頼みのコントロールさえ定まらず、3回持たずまさかの9失点。0点台を守っていた防御率は1.64になった。それでもリーグトップを守る凄い数字だが、疲労の蓄積は明らか。開幕から中5日でフル回転してきたし、14試合で5勝4敗と貯金を作れていないが、投球回数の104回3分の1は、リーグ最多の数字なっている。 元中日の“レジェンド”で評論家の山本昌氏は、現在の菅野の状況をこう見ている。 「確かに菅野の調子は落ちている。先日の横浜DeNA戦がクローズアップされているが、かなり前から状態を崩している。交流戦のソフトバンク戦もそうだった。1シーズンを通じて調子のいいというピッチャーはまずいない。ごくまれにそういうピッチャーがいるが、ほとんどのピッチャーにシーズンを通じたリズムというものがあって、開幕から5月までがんばってきたピッチャーは、この時期、一度落ちる。 疲労の蓄積が原因で、これは当然と言えば当然。調子を落としている中で、どれだけできるかが重要で、菅野はその状態で、あれだけ投げることができていることを評価すべきだろう」 疲労の蓄積は体がキレずにストレートが走らない、変化球がキレない、などの不調現象を生むが、頭にインプットされているイメージと、実際の肉体の動きに微妙なズレを生じさせ、精密なコントロールを乱すというパターンもある。そういう小さな狂いを見逃してくれないのがプロの世界なのだ。 菅野は2日のヤクルト戦に日程の恩恵を受けて中7日の間隔をあけてリベンジを期すが、復活の芽はあるのか。 山本昌氏は、「7月からはどんと調子が上がる。8、9月と、防御率0点台のとき以上に、もっと手がつけられない菅野になると私は読んでいる。打線の援護がなく勝ち星に恵まれていないが、終わってみると15勝はしているだろう」とV字回復を予告する。 だが、そのV字回復を果たすにはある条件が必要だという。 「夏場に上がってくるピッチャーの条件は、体重が落ちないこと。私がそうだった。暑くなると逆に体重が増えた。だから夏場に強かった。菅野のように、今、調子の悪いピッチャーは、おそらく徐々に体重を落としている。春と秋に強いピッチャーは梅雨どきの6月から夏場に体重を落として、暑い季節に勝てない。 逆に春先は悪いが、暑くなると調子を上げるピッチャーもいる。そういうピッチャーは体重が増える傾向にある。つまり、食事と休養、考えたトレーニング、コンディショニングで夏バテしないこと。4年目の菅野は、自分で調整できる立場にあるので、そのあたりを十分に意識して体調を上げる必要があると思うしできると思う」 32年の現役生活を続けた山本昌氏ならではの経験則から来る理論。体重の増減がイコール、ここから先に待ち受ける夏場の成否にかかわるという。 春季キャンプで、菅野のピッチングを3球見ただけで「今年は凄くなる」と予言した山本昌氏の次なる「7月に上がってくる」という予言。ジャイアンツファン、いや菅野自身もすがりたくなるような見通しだが、果たして……。