ひっくり返った虫に手を貸す会…グッズが話題 「昨日助けた」反響も 虫好きの製作者、一度は離れたけど…
子ども時代に熱中した「虫」だったけど
1975年、埼玉県春日部市生まれのとよさきさんは虫好き。幼い頃は、自宅の近くにあった雑木林や草むらで、虫探しに興じていました。 最も熱中していたのは小学3、4年生の頃。 自由研究では、雑木林に通い、100種類の虫を色鉛筆でスケッチ。どんな状況で見つけたか、どんな生態なのかを、自分で見た情報と図鑑で調べた情報とをあわせてまとめました。 ただ、虫好きの友人がいなかったことや、通っていた雑木林が宅地開発のためになくなってしまったこと、またとよさきさんいわく「ヤンキーの道に進んだ」ことで、虫を愛でることからは一度離れたといいます。 「ヤンキーはマッチョな世界なので、『オタク趣味』的なものは言えなかった」と、とよさきさん。「『子どもっぽいことから離れないといけない』みたいな、圧みたいなのも感じていたのかもしれません」
大学生になり「オサムシだ!」
再び「虫の道」が見えてきたのは大学生になってから。 多摩美術大学に進学したことで、東京・八王子で一人暮らしを始めました。緑豊かなキャンパス内で「幼い頃に熱中したオサムシを発見して、興奮しました」。アパートではそのオサムシをしばらく飼育していたといいます。 美大生としては、美術作品で虫を表現しようと試みたことがありましたが、「本物の方がずっといいな、と思いました」。 「例えば、タマムシがきれいだなと思って描いても、自然の美しさには全然かなわないし、むしろ半減している」と感じ、作品のテーマからは外すことにしました。
犬の散歩で気付いた、アスファルトにもいる〝クモ〟
大学を卒業して働いてしばらくした38歳の頃。犬を飼い始め、都内で犬の散歩をするようになったとよさきさん。ここで、再び虫との距離が近づき始めます。 犬を飼う前のとよさきさんは「アスファルトだらけの都心に自然なんかないだろう」と思っていたといいます。 ただ、散歩をするうちに、アスファルトの上を歩いているクモなどが目にとまるように。見つけたクモを調べると、キシノウエトタテグモという地面に縦穴を掘って待ち伏せするクモでした。気づいていないだけで、街なかにも生き物はいるのでは?と思い立ち、子どもの頃のように「身の回りにいる虫について調べる」ことを再開しました。 その頃、著書に「ときめき昆虫学」などもあるメレ山メレ子(現・沙東すず)さんが始めた「昆虫大学」というイベントに出会います。識者によるパネル展示や、虫に関連したグッズ販売もあり、魅力を感じたといいます。 当時、絵本「くるりん! ダンゴム」(岩崎書店)制作のため、改めて昆虫や生態系について調べていたこともあり、「昆虫大学に、出展者として参加したい」という思いを強くしたといいます。