「そろそろ終わりかな」…阪神で現役11年の大型内野手が振り返る“戦力外を覚悟した日のできごと”
「スーツを着て、ホテルに来てくれ」、ファーム最終戦の翌日に一本の電話
――23年は1軍に上がる機会に恵まれなかったですが、ご自身の中で戦力外はあると思われていましたか? 北條 そうですね。前半戦で1軍に1回も上がっていませんでしたし、後半戦に入っても僕とポジションが被っている選手が落ちてきた時に違う選手が上がったので…。この年でずっとファームだったら、来年はないかなと思っていました。夏頃にはそろそろ終わりかなとは思っていました。 ――戦力外通告は球団事務所で通告されることが多いと聞きますが、北條選手もそのような形だったのですか? 北條 去年はファームの最終戦が10月1日で、次の日が休みでした。その休みの10月2日に電話がかかってきて、「3日にスーツを着て、ホテルに来てくれ」と言われました。 ――その時は既に覚悟はできていましたか? 北條 そうですね。もう電話来た時点で、心の準備はしていました。だから、あまりパニックというか、頭が真っ白ということにはならなかったです。 ――その時はどのようなことを考えていましたか? 北條 最初の方はどうしようというのはあんまり考えずに、まず気持ちと体と休めるというか、ちょっとゆっくりしたかった、というのは覚えています。そこから話を頂けるところがあれば考えていきたいなっていう思いでした。 ――その中でチームは日本一になりましたが、どんな風に見ていましたか? 北條 テレビを見ながら応援していました。でも、11年タイガースにいさせてもらって、その1回の優勝の時に何もできなかったという悔しさと虚しさはありました。 〈インタビュー後編に続く〉