レーシングスーツ最新事情 ヒョウドウ『アジリティ』はエアバッグ装備前提 培った技術はストリートにもフィードバック
それに加えて、従来は別部品だったネックガード(コブ)と背面のレザーが一枚革になったこと、背面の上部にニット素材を配置したこと、ヒザまわりのレザーを3から2分割構造に変更して上部にカーボンプロテクターを設置したこと、シャーリングに新素材である「COVEC」(引っ張り強度や引き裂き強度、耐切断性、耐摩擦強度、対破裂性などに優れる)が選択できるようになったことなども、「アジリティ」ならではの特徴です。 また、一部の「アジリイティ」シリーズでは素材をレザーからCOVECに置き換えた仕様も展開する予定です。そのメリットは、機能的には軽さと良好な通気性ですが、熱でインクを浸透させる“昇華プリント”によって、既存のレーシングレザースーツでは実現できなかったイラストやパターン、文字が使用できるようになったことは、ルックスという面では大きなプラス要素でしょう。
サーキットからストリートへ
私(筆者:中村友彦)が取材に訪れた「ヒョウドウプラス浜松」では、同社の全製品が展示されています。それらをじっくり眺めた私は、レーシングレザースーツで培った技術がストリートアイテムに転用されていることを改めて実感しました。
中でもその印象が強かったのは、多種多様な形態が存在するD3OプロテクターとCOVECを使用するデニムパンツですが、2024年6月から発売が始まったエアブーストも、サーキットからストリートに派生した製品と言えなくはありません。 もちろん、最新レーシングレザースーツの「アジリティ」が導入した新しい技術も、将来的にはストリートアイテムに転用されることになるでしょう。
中村友彦