「ポカン口が心配…」子どものポカンと開いてる口の"気になる弊害"とは
ふとした時にお子さんのお口がポカンと開いていることはありませんか? お子さんに多く見られるポカン口ですが、これが習慣づいてしまうと歯並びや顎の発達に影響が出てしまいます。 【写真で確認する】ポカン口の癖を治す「口のストレッチ方法」 今回は歯科医師で口育士の野尻真里が、ポカン口の原因と起こりうる弊害について、紹介します。
ポカン口はなぜ起こるの?
ポカン口は医学的には「口唇閉鎖不全」と言われており、改善の必要があると考えられています。そして、このポカン口が起こるのには様々な原因が考えられます。 まず、お口の癖によるものです。口呼吸の癖、指しゃぶりの癖、舌を前に突き出すようにして嚥下をする異常嚥下癖などの習慣があると、ポカン口を招きやいです。口呼吸は、特に関連が強く、ポカン口が口呼吸を生じる原因にもなります。 また、歯並びや顎の発達異常によって唇が閉じられないために生じること、慢性鼻炎など鼻性疾患によって鼻呼吸が行いづらいこと、舌やお口周りの筋力が弱いこともポカン口の原因となります。
ポカン口から生じる弊害は?
ポカン口は癖として日常的に行うことで、お口の中に悪影響をもたらします。 まず、ポカン口を行うことで、本来上顎についているのが正しい舌の位置なのにも関わらず、舌の位置が常にお口の下方に落ち込んでしまう場合があります。これを「低位舌(ていいぜつ)」と言われ、舌の姿勢が悪い状態です。 本来、舌は正しい位置にあることで上顎を正常に広げる役割も持っています。しかし、舌が下方にあると、下顎が押し広げられてしまい反対咬合(下の歯が上の歯よりも前に出ている状態)を引き起こすことがあります。 一方、押し広げられない上顎では、顎の発達がしっかりとなされず、狭い顎に歯が並ぶことで、歯並びに不正が生じます。 また、この姿勢の悪い舌の位置が下方ではなく、上下の前歯の間に位置している場合は、嚥下の際に上下の前歯の間に舌を出して陰圧を作り嚥下する異常嚥下を行うことがあります。この嚥下法が癖になっていると、しっかりと噛んでいても上下の前歯の間に隙間がある「開咬(かいこう)」と呼ばれる歯並び不正に繋がります。このことから発音が不明瞭になることもあります。 さらに、ポカン口の子はお口周りの筋力が弱く、噛む力も同時に弱まるだけでなく、お口の中が乾燥することで歯肉炎や虫歯のリスクも高まります。噛み合わせの異常によって面長の顔になることもあります。 子どもの心理的にも羞恥や劣等感につながることもあり、改善が必要です。