昨年のシリコンバレー銀破綻、連邦住宅貸付銀行に巨額の違約金収入
(ブルームバーグ): 米銀行監督当局は2023年に米地銀のシリコンバレー銀行(SVB)を管理下に置き、連邦住宅貸付銀行(FHLB)制度からの緊急融資を繰り上げ返済した際、2億8500万ドル(約420億円)という異例に多額の違約金支払わなくてはならなかった。
ブルームバーグが入手した連邦預金保険公社(FDIC)の内部資料で今回初めて明らかになったこの違約金の額は、銀行破綻に伴うものとしては2008年の金融危機以降で最大だった。
SVBが破綻の危機にあった昨年、サンフランシスコのFHLBは即座にSVBへのアドバンス(低利の緊急融資)をまとめ、最終的に300億ドルを貸し出した。SVBが破綻し管理下に置かれたことで、そのアドバンスは違約金を加えてFHLBに返済された。
繰り上げ返済の違約金により、FHLBの昨年1-3月(第1四半期)利益は4300万ドル押し上げられたことが決算報告書に記されている。広報担当者のエリオット・スローン氏によれば、この大半がSVB関連だった。同氏は違約金の額や、どの部分が所得として算入されたのかについて確認を控えた。23年通年の純利益総額は5億3900万ドルと、前年比で67%急増した。
FHLB制度は住宅ローン貸し付けを支援する目的で、大恐慌時代に導入された。この制度が銀行に提供する緊急融資は、借り手の銀行が破綻した場合でも手数料を稼ぐことが可能になっている。この事実はワシントンでFHLB改革を巡る議論を活性化するとみられる。
米国消費者連盟で住宅政策担当ディレクターを務めるシャロン・コーネリセン氏は、住宅ローン以外の目的で銀行がFHLBに依存している状況をこの違約金が物語っていると指摘する。
HFLB改革評議会の議長も務めるコーネリセン氏は「FHLB制度は住宅危機への対処を助けるツールであるべきだ」と話す。「破綻しそうな銀行を助けるビジネスに従事すべきではない」と述べた。