柄本佑「絶望している」今の俳優業への思い尋ね、驚きの回答 その真意とは? 監督業への思いも語る
年齢や経験を重ね、柄本自身も色気のある大人の男性へと成長を遂げ、それが役に魅力にもつながっているように感じるが、本人は「どうなんでしょう」と笑いつつ、「若い頃は取材であまりしゃべらなかったのが、この歳になってみると、意外と僕はおしゃべりなんだなと思ったり、そういった変化はあります」と語る。 そして、若い頃の態度について、「尖っているとか言いますけど、結局は自意識過剰なんですよね」と振り返り、次第に自分が楽でいられる状態にたどり着いたという。 「甘えもあるし、人見知りというのもあって、そういったことを全開に出していた時期がありましたが、ある時から変わりました。根っこの部分は変えようがなく、そこが変わらなければ、おしゃべりであろうと無口であってもどっちでもいいのかなと思ったら、自分が楽にいられるところを探そうとなって。そして、せっかくならマイナスな方向より楽しい方がいいよねという思考になり、気づいたらおしゃべりになっていました(笑)」
結婚や子供誕生で“良い加減”に 監督業は「いよいよ長編を見据えて…」
今作のフォトブック「1(いち)」に収録される“私的マガジン”の中では家族のことも語っているが、結婚や子供の誕生も自身に変化をもたらしたという。 「余裕という風に表現していただくこともありますが、余裕というよりは、いい加減になっているのかなと。いい加減って『良い加減』ということで、僕はいい言葉だなと思っています。適当という言葉も『適宜な場所に当たっている』ということで、僕の中では非常にいい言葉なんです。いろいろと状況が変わっていく中で、自然とそういう風なところにたどり着いたような気がします」 今後について尋ねると、子供の頃からの夢である長編映画監督デビューに向けて動き出していきたいと答えた。 「卒業文集にも『将来の夢は映画監督』と書いていて、映画監督志望でこの世界に入っているので、大河ドラマという大きな仕事が終わって、自主映画の公開も去年できたりして、いよいよ長編を見据えて、実現に向かっていかないとなと思っています。いつ頃になるかはまだわかりませんが、近い将来、必ずやります」 監督業は、俳優業と並行してやっていくことになるのだろうか。 「まだ両立していくのかわかりませんが、とにかく1回は長編をやってみたいなと。昔の方だと佐分利信さんなど、今でいえばクリント・イーストウッドさんなどもそうですが、俳優が監督をするということはいつの時代もあったことだと思うと、非常に勇気づけられます」 映画監督を目指した理由は、「映画が好きだから」という純粋な思いから。監督として自分が届けたい作品を作ることに魅力を感じているそうで、「小学校3年生の時に映画監督になりたいと思ったんですけど、それは、映画を見て勝新太郎さんがカッコよくて、こんなにカッコよく撮る映画監督はもっとカッコいいだろうというところからでした。その思いはずっと変わっていません」とブレない思いを語っていた。 ■柄本佑 東京都出身。2003年、映画『美しい夏キリシマ』の主人公役で映画デビュー。2018年に主演した『きみの鳥はうたえる』などが評価され、キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞、毎日映画コンクール男優主演賞などを受賞。近年の主な出演作は、ドラマ『知らなくていいコト』(20)、『天国と地獄~サイコな2人~』(21)、『ドクターホワイト』『空白を満たしなさい』『初恋の悪魔』(22)、『光る君へ』(24)、映画『火口のふたり』(19)、『痛くない死に方』『心の傷を癒すということ』(21)、『殺すな』『ハケンアニメ!』(22)、『シン・仮面ライダー』『花腐し』(23)など。 ヘアメイク:星野加奈子 スタイリスト:林道雄 衣装協力:ジョルジオ アルマーニ
酒井青子