阪神“アレンパ”失敗の前兆と言われた「不吉な事件」とは 「悪夢の大逆転負け」と共に振り返る2024年シーズン
“アレンパ”を合言葉に、球団初の連覇を目指した2024年シーズンの阪神。開幕前に評論家の多数が1位予想をしたにもかかわらず、投打の歯車がかみ合わないまま、9月28日の巨人のV決定で、あえなく終戦となった。虎党にとっては残念の一言だが、シーズン中、今にして思えば、「あれが予兆だったのでは?」「あれがマズかった」と痛感させられるシーンもいくつかあった。【久保田龍雄/ライター】 【写真を見る】開幕11試合目で木っ端みじんになってしまった阪神ベンチの“守り神” ***
ライナー性のファウルが一塁側阪神ベンチを直撃!
まず、連覇に暗雲が漂うような不吉な事件が起きたのは、開幕直後の4月10日の広島戦だった。 4回1死、広島・アドゥワ誠のライナー性のファウルが一塁側阪神ベンチを直撃。よりによって、ベンチ内に飾ってあったお守り「張り子の虎」の胴体部分に当たり、4本あった足のうち、3本までがもげ落ちてしまった。 この虎は“トラの寺”として知られる奈良県の信貴山朝護孫氏寺から贈られたもので、初代・張り子の虎が贈られた2005年は、岡田阪神が優勝し、早速“張り子効果”をもたらした。 その後、10年の寅年には、阪神なんば線全通を記念して二代目が贈られ、昨年10月、18年ぶりVを達成した阪神のポストシーズン必勝を祈願して三代目が贈呈されると、阪神は見事38年ぶりの日本一に輝いた。 そして、連覇がかかった今季は、右後ろ足に「アレンパ」と筆で書かれた四代目が贈られたが、開幕11試合目にして木っ端みじんになってしまったのは、何とも縁起の悪い話である。 不幸中の幸いだったのは、「アレンパ」の文字がある右後ろ足だけが奇跡的に残ったこと。球団は同寺に相談し、翌11日に修繕のため、持ち帰ってもらったが、その後、修復不可能と判明し、新たに五代目が贈られることになった。 「ベンチにあったら安心するし、戻ってくるのはうれしいですね」(森下翔太)とナインも“戦列復帰”を喜んだが、結局、アレンパならず。 今にして思えば、霊験あらたかな張り子の虎が邪球で砕け散ったのは、“アレンパならず”の前兆だったと痛感させられる。