佐々木蔵之介「内容も血の量も、本当に攻めた作品になりました」
◆「血糊がないと物足りなく・・・」
──そう言われると、罪を背負った7年間の重さも、危うさに拍車をかけていたのかもしれません。 哲雄はいつもドラマのなかで「これで終わりだ」「これで終わらせよう」「やっと終わった」って言うけど、一切終わってなかったんです。一度一線を越えてしまったら、ずーっと終わらない。この7年間、彼はときには笑ったりしていたと思うけど、やっぱり毎日罪悪感や後悔を感じていたはず。 家族のためにやったことが、決して家族のためになっていなかったと。映画は、哲雄がそこから卒業というか・・・。終わらせることはできないけど、彼なりの結論を出すということだったと思います。 ──ドラマでも、哲雄に絡んでくるのはクセの強い人が多かったですけど、今回登場した哲雄を追い詰めるクセ強のラスボス・志野(津田健次郎)と、哲雄の秘密を知る謎の青年・大沢(宮世琉弥)も、負けないほど強烈なキャラクターでしたね。 津田さんは衣装合わせのとき、青山貴洋監督と「ちょっとクセを強くしたい」っていうやり取りがあったらしくて。そこからクランクインするまでに30日ぐらいあって、かなり発酵していました(笑)。 志野は怖くて不気味なだけじゃなくて、クネクネしていてちょっと笑えるのが良かったですね。「気味が悪いけどなんかオモロイなあ、この人」というのが、エンタテインメントとしてやっぱりよかったと思います。 ──大沢も登場シーンは「こいつナメとんか」って、インパクト絶大でしたね。 明るく溌剌と登場するけど、オタクなのか? サイコなのか? というのが、どうにも読めない感じもあって。この2人が本当にクセ強で役を作ってきたので、逆に僕はリアクションは楽でした。「なんやこいつ? 気持ち悪っ!」「いや、こいつ信用できるんか?」って、そのまんまの反応でしたから(笑)。 ──あの反応は素だったんですね。しかし大沢の正体って、普通のドラマならもっと早く匂わせたと思うんですけど、ギリギリまで引っ張ったおかげで、興奮度が増しました。 そのバランスって難しいんですけど、お客さんの目を惹きつけつづける力が、宮世くんにあったのが大きかったんです。その力がなかったら、早めに(正体を)匂わせることで惹きつけておく方がいいけど、彼はちゃんとそれができてましたからね。今回のキャラクターで、実は一番強いのは大沢ですよ(笑)。 ──確かに! そして血糊の量も、まさに大出血サービスでしたね。 ホント、大増量です。ドラマでは血糊に苦労したんですが、もう慣れちゃって。血糊がないと物足りなく感じました。「今日はいらんのかい?」って(笑)。