自動車ユーザーはもっと怒っていい!「13年経ったら自動車税が高くなる問題」はこんなにおかしい
だが、この「13年」の区切りには特に科学的な根拠はない。「13年経った車は環境性能や燃費性能が低下するので税額を上げる」というわけではないのだ。 ましてや冒頭のAさんらが憤るように、車検に通っているということは、国が定めた排ガス基準をクリアしたとういこと。それなのに「13年経ったから税金が高くなる」というのは理屈に合わない。 ■ 古い車を大切にすることは“悪”なのか EVが走行中に排ガスを出さないのは分かるが、製造過程では大量の温室効果ガスを出している。ガソリン車のユーザーを急速にEVにシフトさせることが果たして本当のエコにつながるのかは疑わしい。 EVやハイブリッド車の普及のためには、税金上の特典が付いているのだから、それで十分ではないのか。ガソリン車やでディーゼル車に乗っているユーザーは、その時点で重い税を負っているのである。そこに加えて、13年ないし11年が過ぎたら税負担がさらに増すというのでは、あまりに酷ではないか。それでも「“環境のため”を謳えば文句もあるまい」と国や政治家は考えたのであろうか。愛車を大切に乗っている自動車ユーザーの納得が得られているとはとうてい思えない。 前出した群馬県のAさんは次のように言い足す。 「私の知り合いもこの『13年問題』に対して怒っています。この地域では買い物に行くのに車は必要不可欠です。東京のように地下鉄が網の目のように走っているわけじゃないですからね。それは年金で生活している高齢者にとっても同じことです。そういう人たちが大事に乗ってきた車に対しても、『13年過ぎたから自動車税を15%上乗せする』なんて、あまりに酷い、手前勝手な言い草じゃないですか。 私の周りの人間は、次の選挙ではこんなバカな税法を作った政党には絶対に入れないと息巻いています。知人のひとりは『13年問題は悪法だ』と長年支援してきた国会議員のセンセイに噛みついたと言っていました」 環境問題が大事なのはわかる。だが古くなったもの、長年大事に使ってきたものをさらに大事に使っていくというのも、日本人の美徳だし、環境保護にも資する部分は大いにある。それを、一律に「13年経ったんだからもうエコカーに買い替えよ」とばかりに税金を重くするのは、愛車を大事に乗ってきた人々の感情を逆なでるようなものだ。 EVやハイブリッド車への税優遇はあってもいいかもしれないが、古くなったガソリン車やディーゼル車への懲罰的とも思える重課税は再考すべきではないのか。
神宮寺 慎之介