まさか!大阪・通天閣から100万円の寄付 映画「翔んで埼玉」きっかけ 映画ではミサイル、今回は「お年玉」着弾 今年3月にお披露目、行田タワーの誕生祝い 通天閣社長「一緒に盛り上げなあかん」
埼玉県行田市の公園「古代蓮の里」にある古代蓮会館の展望台(高さ50メートル)が今年3月、正式名称「行田タワー」となり、お披露目される。埼玉が自虐的に描かれる映画「翔(と)んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて~」(2023年公開)では既に行田タワーの名前で登場し、話題となった。このほど、行田タワーの誕生を祝い、映画では敵対した大阪のシンボル「通天閣」から100万円の「お年玉」(寄付)が届いた。同市は「まさか映画で戦った通天閣から寄付があるとは。通天閣に負けないように行田タワーを埼玉のシンボルにしたい」と、埼玉唯一のタワーとしてPRしていく。 まさか!通天閣から「お年玉」 行田タワー、お披露目で祝い 通天閣社長「一緒に盛り上げなあかん」
■迎撃ミサイル 映画は19年に公開され、大ヒットした「翔んで埼玉」のパート2。東京都民から迫害を受けていた埼玉県人が「日本埼玉化計画」を推し進めるため、関西の府県を巻き込んでの東西対決といった様相になる。映画では終盤、大阪が謎の粉を積んだ通天閣型のミサイルを東京に向けて発射。それを阻止すべく行田タワーが発射され、迎撃する。 「何でうちの通天閣が撃たれなあかんのや」。通天閣を運営する通天閣観光株式会社の高井隆光代表取締役社長(50)はパート2を鑑賞した時の感想を率直に話す。ロケハンや撮影に立ち会って通天閣が登場するのは分かっていたが、ストーリーまでは知らなかった。1度も埼玉を訪れたことがない高井社長は「映画を見て埼玉に親近感が湧いた。行田市のタワーも有名になってほしい」との思いを強くしたという。 全国各地のタワーでつくる「全日本タワー協議会」という組織がある。毎年10月1日の「展望の日」に合わせてライトアップするなど、連携しながらPRに努めている。通天閣も加盟しており、高井社長は映画をきっかけに「もっと売り出した方がええ」と、行田市に協議会に登録するよう助言。昨年、同市は展望台を行田タワーの名称で協議会に入会した。
■ランドマーク 展望台は高さ50メートル、360度大パノラマが一望できるランドマークとして知られる。ギネス世界記録に認定された巨大な田んぼアートを見下ろすこともできる。ただ、これまで正式な名称がなかった。同市は行田タワーと命名するにあたり、「行田タワー全国発射プロジェクト」を展開。タワーの外壁に遠目からでも分かる「行田タワー」やアルファベットで「GYODA」などの文字を取り付ける。同市は工事費など計2400万円を集めるため、クラウドファンディング(CF)型ふるさと納税や企業版ふるさと納税による寄付を募集。同市によると、昨年12月25日現在で2265万3千円が寄せられているという。 ■ともに盛り上げ 高井社長は「協議会への加盟を勧めたのは私。通天閣は撃たれはしたが、寄付を募集していると聞いて、お役に立ちたい」と100万円を寄付することにしたという。「これからは通天閣と行田タワーで相互交流を図り、何か面白いイベントを考え、一緒に地元を盛り上げていかなあかん」と話す。
展望台のある古代蓮会館は2001年にオープン。映画によるPR効果もあってか、年間来場者数はパート2公開前の8~9万人から公開後は13万人超になっているという。 行田市の行田邦子市長は「全国の皆さまから寄付を賜り、目標金額を達成できる見込みであることを大変うれしく思う」とし、「映画でご縁のあった通天閣観光株式会社からもご支援をいただき、通天閣と行田タワーとのコラボイベントなどを実施していきたい」と、「昨日の敵は今日の友」として友好を深めていく考えだ。