ポンド・株高のシナリオ揺るがず、労働党の勝利ほぼ確実視-英総選挙
(ブルームバーグ): 英総選挙の7月4日実施が発表されて以降、英国の資産価格はおおむね方向感のはっきりしない状況ではあるが、最大野党・労働党が世論調査で大きくリードしており、市場参加者がより楽観的になる妨げとはなっていない。
ロンドン市場に上場される株式の相場は史上最高値に近く、ポンドも対ドルで堅調に推移しており、総選挙後に発足する新政権が安定をもたらし、長年市場にのしかかっていた政治的重しが取り除かれるとストラテジストやファンドマネジャーは期待している。
マールボロ・インベストメント・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、ジェームズ・エイシー氏は「労働党勝利という結果がほぼ確実視されているため、市場は選挙についてかなり落ち着いている」と指摘する。
選挙結果にかかわらず、与党保守党と労働党の政策が、英国に及ぼす経済、財政面の影響が根本的に異なるとは考えにくく、「市場の混乱が起きないことを意味するはずだ」とエイシー氏は分析した。
イングランド銀行(英中央銀行)の利下げが他の多くの主要国・地域に後れを取るとの観測が強まり、ポンドはG10通貨で対ドルでの最良のパフォーマンスを維持している。先週の総選挙実施の発表が、そのシナリオを揺るがすことはほとんどなかった。
UBSの通貨ストラテジスト、イバン・ベルトゥ氏は、高利回り通貨から投資家が特に得られる利益に言及し、「今年はキャリーのシナリオが優勢だ。総選挙は中心的なイベントにはならない」と認識を示す。
バークレイズのストラテジスト、エマニュエル・コー氏によると、スナク首相による総選挙実施の発表後、株価はほぼ足踏み状態だが、いったん決まれば、全体のプラスのセンチメントが崩れることはなさそうだ。
コー氏は「幾分より安定した政権が誕生する可能性は、中期的にプラスに働くかもしれない」と見解を明らかにした。
原題:Early UK Election Adds to Bull Case for London Markets This Year(抜粋)