"9年制"義務教育学校が急増!小学校・中学校を統合する背景には「少子化」だけでなく「学力向上」も
東海3県初の義務教育学校では1年生から英語も
藍川北学園が参考にする学校は、7年前に東海3県で初めて開校した岐阜県白川村の義務教育学校「白川郷学園」。中学1年生にあたる学年は「7年生」、中学3年生にあたる最高学年は「9年生」です。 1つの学校で9年間授業を受けるメリットの一つが「教科担任制」。白川郷学園では、1年生から英語の授業があります。一般的に英語の授業は小学3年生から始まりますが、義務教育学校ならカリキュラムを柔軟に組むことが可能です。 1年生の授業を終えた英語の先生は、次に7年生の授業へ。白川郷学園では英語をはじめ、算数、体育、図工、音楽で1年生から教科担任制を導入しています。 (白川郷学園・曽出昌宏校長) 「(効果が)点数にすぐあらわれるかというと、そういうものではない。1年生から専門的な指導を受けるので、学ぶ意欲は確実に高まっていると思う」 給食は1年生から9年生まで一緒に食べます。こうした環境は、中学入学時に新しい環境に馴染めなかったり、授業についていけなくなったりする「中1ギャップ」の解消としても期待されています。 (6年生) 「1年生から9年間(環境が)同じなので、あまり7年生になる不安はない」 (9年生) 「ずっと昔から、みんな一緒にいる友達みたいな感じ。学年に関係なく遊んでいて、仲が良いと思う」
少子化の中「新しい仕組みの学校をつくる」
全国でも早く開校した白川郷学園には視察が絶えず、この日は藍川小学校と藍川北中学校の教員や地域の人が訪れました。 学校側は「学力と人間性の両方の向上を狙っている」と説明。義務教育学校のデメリットはあるかの問いには「(教員が)1年生から9年生までの教材研究をするのは、かなりハード。そこの負担だけで、あとはメリットしかない」と答えます。 一方、子どもからは、こんな不安の声もありました。 (9年生) 「今までずっと固定の人とばかり関わってきたので、新しい環境に出るときに、人とうまく関われるかな」 藍川北学園は、藍川北中学校の校舎を改築して活用するため、子どもたちは今、藍川小学校の校舎で勉強しています。白川郷学園を参考に、全校で一緒に給食を食べることや、教科担任制の導入が検討されています。 (岐阜市教育委員会・水川和彦教育長) 「子どもが減ったから1つの学校にするという考え方ではなく、新しい仕組みの学校をつくる。今までの学校ではできなかった教育なので、面白いのではないかと思う」 県庁所在地である岐阜市にも迫る少子化の波。統廃合を余儀なくされる学校が増える今、9年間子どもたちを見守る義務教育学校という選択肢が広がっていくかもしれません。 CBCテレビ「チャント!」7月16日放送より
CBCテレビ