台風に地震…自然災害多発の日本で"どこに住むべき"か? 宮崎県民「東京のど真ん中に住んでいても何が起きるかわからない」ハザードマップに課題点も
■大型地震でも冷静に備えて行動「安全な場所を探して住んでも…」
想定しうる災害は台風だけではない。8月8日には日向灘で最大震度6弱の地震が起き、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が出された。森さんは「いつ起きるかわからない地震や津波を気にして、安全な場所を探して住んでも、そこが安全とは限らない」と語る。「山に住んでも崖崩れがある。マンション上層階でも家具が倒れる。『自分がどこに住めば幸せか』を優先している」という考えの持ち主だ。 先日の地震発生時には、会社に居たが、すぐ自宅に戻った。「猫をピックアップして、土地の権利書などを非常用のリュックに入れ、車に乗って高台のガソリンスタンドへ行き、満タンにした。避難待機時には落ち着いていて、『猫のトイレがないな』などと考えた。戻ってからの1週間で、非常用トイレなどを買い込んだ」と冷静に対応できたという。 台風については、状況の変化もあるようだ。「私は移住18年目だが、台風がそれてきている。地球温暖化や黒潮の流れの影響で、移住してからの直撃は、おととしの台風14号が初めてくらい。以前は『台風銀座』と呼ばれていた宮崎だが、かする程度になってしまった」と違いも感じている。 沿岸部は自然災害のリスクが大きいと考えられるが、それでも住む理由は何なのか。「自然が好き。東京では比較的ど真ん中に生まれ育ったが、今回の都心の水害もそうだが、いつ何が起きるかわからない」と述べた。
■頼りにしたいハザードマップに課題も 研究者「色がついてないところでも災害は起こる」
災害時に頼りになるハザードマップだが、必ずしも完全ではない。だいち災害リスク研究所所長の横山芳春氏は「色がついているところは要注意だが、色がなく危険とマークされていない場所でも、土砂崩れや浸水が起こる。国も色がついていなくても、崖や川の近くなら避難を呼びかける」と解説する。 地下鉄改札などが浸水した東京・市ヶ谷駅は、ハザードマップ上で水没が想定されるエリアではなかった。「私の仮説だが、神楽坂や山の手から流れてきた水が、江戸城の外堀の先に、フェンス柵の基礎があり、そこでせき止められたのではないか。ハザードマップ作成時に想定していなかった人工物や、作成後の造成などにより、予想される最大雨量にあわないケースもある。色が付いていない場所でも、災害が起こる危険性はある」と語った。 台風の進路変更や、ゲリラ雷雨の頻発などで、ハザードマップを作り直す必要はないのか。「過去の履歴ではなく、高低差やシミュレーションによって作っている。ただ、『今回、冠水や浸水が起きなかった地域だから大丈夫』ということはない」と注意喚起した。 災害の危険があるエリアに住むことを、どう捉えるか。「危険な地域に住むこと全てをダメだとは思わない。『どういうリスクがある』と知り、『どういう時に避難するか』がわかっていれば良い」と、住む上での情報整理が重要だと説いた。