フードコートで席取りするためにハンカチだけ置いていたら…（Seventyfour/stock.adobe.com）

外出時、席を少し離れただけで確保していたフードコートの座席をとられてしまった経験がある人は意外と多いはず。そんな時、活躍してくれるのがハンドメイド作家らららさんが製作した「席使用中キーホルダー」です。 【写真】これを置いておけば、席取りしているのが一目瞭然 小さなもめごとが大きなトラブルに発展することもある今の時代、さりげなく意思表示できるアイテムは自分の身を守るためにも役立ちます。 ■自身が困った経験から「座席使用中キーホルダー」を製作 らららさんは、思わず二度見したくなる「謎需要アクセサリー」を作っているハンドメイド作家。独特な作風になったのは、ハンドメイド作品コンテストへの応募がきっかけ。誰も作っていないものを作るため、「需要がなくて作られていないもの」に目をつけました。 「謎需要アクセサリー」のアイデアは子ども時代の記憶や普段の生活を振り返りつつ、誰もアクセサリーにしないだろうと思うものを探すことで得ているそう。制作期間は、作品によって様々。勢いよく作ることができる時は1日で完成することもありますが、作っている途中でしっくりこず、1年以上寝かせている作品もあります。 制作時には「需要が謎であること」だけでなく、アクセサリーを作ったことで傷つく人がいないようにも意識。たくさんの方が楽しくて笑ってしまう作品を作りたいとの思いから、完成した後で意図しない受け取り方をされてしまいそうな作品はボツにしています。 「席使用中キーホルダー」は自身の子どもが小さかった頃、フードコートで席を取るためにハンカチを置いていたところ、忘れ物として届けられてしまった経験から生まれた作品。 「あれから十数年経った今でもフードコートの席にハンカチが置いてあるのを見かけたので、常に持ち歩けて必要な時にさっと使えるアイテムがあればと思い、制作しました」 ■左右を瞬時に判断するのが難しい「左右盲」を解消するアクセサリーも！ らららさんは他にも、日常でのプチ悩みを解消するアクセサリーを製作しています。そのひとつが、右や左という言葉と実際の方向を結びつけるのに時間がかかる「左右盲」の方に向けた「左右盲リング」です。 この作品は、お客さんの声から生まれたもの。イベントへの出展時、お客さんから左右盲の存在を教えてもらい、「左右をデザインした指輪が欲しい」と言われたことから、らららさんは左右盲リングを製作しました。 販売を開始すると、予想以上の反響が。らららさんは左右盲で困っている人の多さに驚きました。 「中には、左右を確認するために片方だけにタトゥーをいれている方もいらして、本当に大変なんだなと感じました。普段、謎需要なものばかり作っているので、感謝のお言葉をたくさん頂いたのも初めてでした」 自身が生み出すアクセサリーを「謎需要」という言葉で表現するらららさんですが、その中には言葉にするには躊躇してしまう大切な気持ちをこっそり示せる作品も多くあります。 例えば、割れたくす玉をかわいく表現した「くす玉アクセサリー」は、嬉しいことがあった時やイベント時に活用させたい一作。 こちらは、コロナ禍に感じたもどかしさから生まれたもの。他人とお祝いする機会が少なくなっても嬉しいことがあった時、おめでたい気持ちになってほしいとの想いが込められています。 また、「ドルヲタアクセサリー」は、うちわを持っていく勇気が出なくてもライブやイベント時に輝く推しを全力で応援できるというオタク大注目の作品。 「私自身、コンサートのたびに色々なうちわを作るアイドルオタク。アクセサリーにしたらオタク友達が喜んでくれそうだと思って作りました。アイドル本人には見えないサイズだけど、コンサートに行く時のおしゃれとして使ってほしいです」 楽しんでくれる人に謎需要アクセサリーが届いてほしい。需要が謎なアクセサリーを着けてるんだぞ、と開き直ってもらえたら嬉しい。そう話すらららさんは毎年、自分の中で作品作りのテーマを設けながら制作活動に取り組んでいるそう。 今年は「ちょっとだけ賢くなれるアクセサリー」をテーマに、親鶏が食べた飼料によって黄身の色が左右されるという「飼料別アクセサリー」を販売予定。想像の斜め上を行く「謎需要アクセサリー」、今後も目が離せません。 （まいどなニュース特約・古川 諭香）