自転車競技 日本に立ちはだかる、強豪・英代表に驚きの声「パンクバンドのメンバーのようだ」/パリ五輪
興奮を隠しきれない。日本時間の8月6~11日にパリのヴェロドローム・ナシオナルで自転車トラック種目がいよいよ始まる。祭典を目前に控えて、競輪の現場を取材してきた前田睦生記者(東京スポーツ)はこう語る。 「海外のロックバンドに手の届かない憧れを持ってしまうように、マディソンを走る海外選手は別次元だと感じていた。だが今はそれはない。日本チームが刻むリズムと、実は攻撃的なビートが、渦巻く。それに加えて、最高の笑顔」(※1) 前田記者が惚れ込むのは、偉大なアスリートたち。そして、「イギリスのジャック・カーリンはロックバンドCLASHのメンバーみたいなんだ」と個人的な印象も続けた。どのような選手なのだろうか。
元フットボール選手だったジャック・カーリン
英国の五輪代表、ジャック・カーリン(27歳)は14歳のころ、フットボールで両足首骨折の大怪我を負った。リハビリの一環として、相手選手と接触しない「ノンコンタクト」の競技を始める。これが自転車競技との出会いだった。 才能はすぐに開花し、トップレベルの成績を収めていく。五輪デビューは前回の東京。チームスプリントで銀メダル、スプリントで銅メダルを獲得した。このとき日本は男子チームスプリントで予選敗退して本戦出場を逃し、男子スプリントは脇本雄太が9位(男子ケイリンでは7位)だった。 記者が連想した「ザ・クラッシュ(The Clash)」とは、英国の伝説的なパンク・バンド。1976年から1985年にかけて活動し、反骨精神でファンの心をつかんだ。ボーカルを担当した若き日のジョー・ストラマーの凛々しい顔立ちが、なるほどジャック・カーリンに似ているようにも見える。両足首骨折の大怪我から立ち直った反骨精神も、走りに表れるだろうか。その答えは、6日以降に登場するレースで明らかになるだろう。
偉大な先輩らの思いを胸にメダル獲得を目指す
日本が前回・東京五輪の自転車トラック競技で獲得したメダルは、梶原悠未が女子オムニアムで勝ち取った銀のみだった。2004年アテネ五輪のチームスプリントで銀メダルを獲得した伏見俊昭は、パリ五輪に挑む選手たちに期待を込める。 「自転車競技は今回も素晴らしい選手がそろってメダル獲得の期待も大きいですね。一番、メダルに近いのはやっぱりお家芸のケイリンかな」(※2) ケイリンは、2000年のシドニーオリンピックから五輪種目となった。2008年の北京五輪では永井清史が銅メダルを獲得している。日本の選手たちは、偉大な先輩たちの思いを胸に秘めてメダル獲得に挑む。 パリ五輪の女子ケイリンでは佐藤水菜は金メダルへの期待がかかる。2023年「ネイションズカップ第1戦、第2戦」、2024年「ネイションズカップ第1戦」に出場しケイリン種目は3大会すべてが金メダルだ。 梶原は前回の銀以上を狙う。太田海也がチームスプリント、スプリント、ケイリンの3種目で、中野慎詞はケイリンとチームパーシュートでメダルを目指す。世界の強豪に立ち向かう、パリの熱い戦いに目が離せない。 (netkeirin編集部・木村邦彦) 【出典】 ※1 前田睦生の感情移入『史上最強の選手はラブレイセン、世界の強豪たちは野獣』netkeirin 2024/07/27 ※2 伏見俊昭のいつだってフロンティア『落車、失格のときの賞金はどうなるの? 入院費やそのほかの手当は? ユーザーの疑問に答えます!』netkeirin 2024/07/28