2024年「良かったドラマ」ベスト10。『光る君へ』『アンメット』超えた、文句なしのNo.1は<後編>
3位:光る君へ
とりわけ周囲の女性たちから「大河にハマってる!」「初めて全話完走した!」という声が多かった、今年の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合ほか)。史料があまり残されていない平安時代を舞台に、本名すら定かではない紫式部“まひろ”の人生を描きました。 雅な平安の世界で繰り広げられる、政(まつりごと)と、ドロ沼の人間関係。大河ドラマファンが好きな合戦シーンはほぼありませんでしたが、平安でも令和でも変わることのない人間の激しい業のぶつかり合いは見応えがありました。最後の最後まで、まひろを取り巻く各人たちとの関係性にハラハラさせられた、今までにない大河ドラマだったと思います。 同じく大石静氏脚本で、切なくも激しい人間ドラマを描いたドラマ『知らなくていいコト』(日本テレビ系)のファンだった筆者としては、またも吉高と柄本の関係性を、じらされながら固唾をのんで見守った1年間でもありました。
2位:アンメット ある脳外科医の日記
今年最も心に沁みた作品は『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)。事故によって記憶障害の重い後遺症を持つ脳外科医の主人公・川内ミヤビ(杉咲花)が、同じく脳外科医の三瓶友治(若葉竜也)をはじめとする仲間たちとともに患者を全力で救いながら、自分自身も再生していく物語でした。 ミヤビの記憶障害は、過去2年間の記憶が抜け落ちた上で、今日のことを明日にはすべて忘れてしまう、というもの。誰と、どんな風に過ごしたのか、毎日リセットされるという状態は想像を絶します。そんな主人公の心情を杉咲花が、寄り添う人間の心情を若葉竜也が、見事に表現していました。記憶はなくとも、積み重ねてきた努力や関係、心は失われないことを全話通して丁寧に描写。人は誰もが完璧ではないからこそ、人と人が支え合う。その尊さを登場人物たちの日常を描くことで伝えてくれた、医療ドラマの枠を超えた傑作でした。
1位:虎に翼
文句なしに今年No.1だったドラマは、NHK連続テレビ小説『虎に翼』! 憲法第14条にある「法の下の平等」を最大のテーマに、日本初の女性弁護士である三淵嘉子氏をモデルにした女性・寅子(伊藤沙莉)の奮闘を描きました。伊藤沙莉が放つ唯一無二のヒロイン力が素晴らしかったのは言わずもがな。それ以上に、実際の法曹界の歴史をシンクロさせた吉田恵里香氏の緻密な脚本力には何度も唸らされました。 一人ひとりのキャラクターの解像度が高いこともあり、リーガルドラマでもあり、ホームドラマでもあり、社会派ドラマでもあり、多彩な楽しみ方をさせてくれたことも特徴的。昭和初期から令和になったイマも残り続ける差別や偏見にも真正面から向き合った作品でもありました。誰もが感じたことのある「はて?」に、ヒロインたちが逞しく立ち向かっていく姿には何度も励まされ、心奪われました。 これまでも多くの朝ドラを楽しんできた筆者ですが、最終回後すぐに、松山ケンイチの毎話視聴ポストを観ながら全話を一気に再視聴。こんなに短期間でもう1周した朝ドラは初めてでした。何度観ても気づきや感動のある、まさに伝説的朝ドラだったのではないでしょうか。 ======== ここでは紹介しきれないほど、他にも数々の名作ドラマが生まれた2024年。配信のオリジナルドラマも多く、ドラマ好きとしては何度も嬉しい悲鳴をあげた一年でした。皆さんの今年のお気に入りドラマは、ありましたか? <文/鈴木まこと> 【鈴木まこと】 雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201
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