「ゴジラ-1.0」山崎貴監督 もし次回作を作るなら「昭和でいきたい」【WBS】
佐々木キャスター「お若いですものね」 山崎監督「うちのチームでは一番若いぐらいです。ハリウッドのVFXのチームはみんなスーパーバイザーなので、おじさんたちばかりなんですけれど、うちのチームは女子はいるし若いやつもいるしというので、そういうところも投票する人たちが『あいつらなんか面白いから入れちゃおうぜ』となったのだと思います」 田中キャスター「『ゴジラ-1.0』は少数精鋭で作り上げたところも注目されたと思いますが、チームのマネジメントにおいて心がけていること、大事にしていることは何でしょうか」 山崎監督「一番はいろいろな意見を平気で言える環境作りをすごく大事にしています。もちろんそこにはある種のリスペクトは必要なんですけれど、若いとか昔からいるとかは関係なく好き放題に言える環境を作らなきゃいけないなと思っていて、そこは頑張ってやってきたつもりです」 佐々木キャスター「監督自身、優しい人が大事だとおっしゃっています」 山崎監督「意見を言うにしても人を傷つけようと思っているのではなくて『ここはすごく良いけど、この部分でこうした方がいいじゃないか』とちゃんと相手の立場を考えて言える人たちをできるだけ集めたいと思っています」 佐々木キャスター「それはご自身の体験からでもあるのですか」 山崎監督「映画の現場って昔だとオラオラ系の人たちが怒鳴りながらやっているイメージがあるのですが、うちの現場は本当にすごく優しい人たち。僕が映画を作る時に最初に才能があって優しい人が欲しいですとお願いして、いろいろなスタッフを集めてもらったんです。その精神はうちの白組チームにも残していきたい」
日本映画、世界進出加速か
アメリカで大ヒットとなった「ゴジラ-1.0」。いったいどこが受けたのでしょうか? 「日本が作るゴジラ映画はゴジラを偉大な存在として描くのがうまい」(アメリカの観客) 「主人公は家が灰と化したのを目の当たりにし、そこから全てを懸けて建て直そうとする。ゴジラにもう何も破壊しないでほしいと感じた初めてのゴジラ映画」(アメリカの観客) テレビ東京は、今年のアカデミー賞で作品賞を含めた7部門を獲得した「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督にも聞きました。 「戦後という複雑なテーマを描きつつ、エンターテインメントに仕上げた傑作映画だ」(クリストファー・ノーラン監督) 「日本映画は今後もっと世界に羽ばたくと思うか」(鵜飼祥記者) 「山崎監督がVFXの知識も豊富というのもあるが、日本映画は感情を揺さぶるのがうまく、世界で評価されている。世界に羽ばたくポテンシャルがある。『ゴジラ-1.0』はその始まりだと思う」(ノーラン監督) 佐々木キャスター「ノーラン監督の言葉を、山崎監督はどういうふうに聞かれましたか」 山崎監督「めちゃくちゃ嬉しいですね。漫画家の方たちはすごく素晴らしいと思うんですけれど、日本が持っている物語を語る力が注目されている感じがします」 佐々木キャスター「今回の『ゴジラ-1.0』は異例ずくめの作品です。歴代のゴジラシリーズで初めて過去を舞台とした、いわば時代劇であり、実は海外でも吹き替えではなく、字幕でしか公開していない」 山崎監督「コロナ禍にアジアの作品をアメリカの人はいっぱい見ていて、アニメーションも字幕で見ていたので字幕文化が今、出来上がってきているんです。吹き替えよりもオリジナルの音声で見たいという人がすごく増えていて。アジアのものも、字幕のものもみんなウェルカムというときに『ゴジラ-1.0』が出てきた感じだったので、非常によかったと思います」 田中キャスター「北米での興行収入5641万ドル、日本円でおよそ83億円ですが、英語以外の実写映画としては歴代3位に入っています。今回VFXに大きな焦点が当たっていますが、山崎監督は監督、脚本も手がけられています。アメリカではストーリーの評価、内容の評価も高いようですが、ご自身ではアメリカでのヒットの要因をどのように分析されますか」 山崎監督「ゴジラがものすごいスーパースターだったと改めて感じました。本当に皆さんゴジラが好きでゴジラ、ゴジラと言われる。僕らがゴジラの人形を持って行くと『ゴジラのやつか?』とすごくそこで認知される。今までハリウッドでもゴジラの映画が作られてきて地盤があったこと、改めて物語とキャラクターたちが評価されているのをすごく感じました」 佐々木キャスター「アメリカのゴジラとは違ったスタイル」 山崎監督「アメリカのゴジラは人間の味方になっていたが、われわれのゴジラは怖くてかっこいい。特にアメリカで子供の頃に昭和のちょっとファニーなゴジラをすごく見ていた人たちが、今ガチのやつが来たという感じで、そこもすごく喜んでもらっている」 佐々木キャスター「ヒットは予想されていましたか」 山崎監督「全然想像しなかったです。ものすごくドメスティックな話だし、日本人ならわかるだろうなと思いながら作っていた部分が大きいので、こんなことになって本当に未来はわからない。オスカーに絡むとは誰も想像していなかったです」 田中キャスター「山崎監督は『オッペンハイマー』へのアンサーとなる映画を日本人としていつか作りたいという話をされていました。現状、山崎監督の考えるアンサーというのは何を表現することなんでしょうか」 山崎監督「たぶん作ると思うので、あまり詳しくは言えないんですけれど、でもあのとき何が起きたのかは、われわれが作るべきなのかなと思っています」 田中キャスター「構想はあるということですね」 山崎監督「そうですね。いつになるかはわからないのですが、いつか作りたいと思います」