東京マラソンで波紋を広げたペースメーカーは本当に大問題だったのか…パリ五輪切符に41秒届かった西山雄介の無念
一方、日本人トップ集団は10㎞が29分45秒、中間点を1時間02分55秒で通過。予定よりも少し遅くなったのだ。前年の大会で2時間05分51秒をマークした山下一貴(三菱重工)の通過タイム(5㎞、10㎞、15㎞、20㎞、ハーフ、25㎞、30㎞、35㎞、40㎞、フィニッシュ)と比べると、その差は明らかだ。 山下14:50 29:25 44:07 58:58 1:02:12 1:13:48 1:28:43 1:43:47 1:59:10 2:05:51 西山 14:55 29:45 44:40 59:41 1:02:55 1:14:30 1:29:15 1:44:18 1:59:49 2:06:31 今回の日本勢は前回の山下と比べて10㎞で20秒、中間点(ハーフ)で43秒遅れている。西山も「前半は遅く感じました。ハーフは62分00~30秒で行ってほしかった」という。 もし前回のようなペースで進んでいれば、ゴールタイムは変わっていただろう。 30㎞まで安定したペースで気持ちよく流れていくのが理想の展開だが、日本人集団はそうはならなかった。ペースに安定感がなく、給水時に立ち止まって、自分のボトルを探すペースメーカーもいた。選手たちがぶつかりそうになるシーンもあり、日本人集団にとっては非常に気を使う〝難しいレース〟になってしまったのだ。体力を削られただけでなく、神経をすり減らした選手もいただろう。 西山にとっては19㎞過ぎの転倒が痛かった。 「ケニア人選手は脚が流れたり、結構動いたりするので、その影響でちょっとつまずいてしまった」と、ペースメーカーの脚が引っかかるかたちになった。すぐに集団に復帰したが、転倒で遅れた後、ペースアップしたことが、終盤の走りに影響したと思われる。 15㎞からの5㎞が予定(14分45秒)よりも遅い15分01秒かかったことを考えると、「ペースが遅い」と感じた西山がペースメーカーに近づきすぎてしまったのも転倒の原因だったのかもしれない。 今回はペースメーカーの不備を指摘する声もあるが、国内外で100戦以上のマラソンを経験しているプロランナーの川内優輝はYahoo!ニュース エキスパートとして、以下のコメントを投稿している。 「ペースメーカーがいる間はただ流れに乗ればいい」と考えがちですが、「機械ではなく選手」ということは常に頭の隅に置いておく必要があります。 給水が苦手で止まったり戻る選手も時々いますので、「そのような選手の近くを走らない」、「接触しないように集団内での位置取りを変える」、「スペシャルドリンクを取りに行けない位置取りをしてしまったらゼネラルを取りに行く」といったことを給水所が近づいてきたら瞬時に判断する必要があります。また、ペースメーカーが速かったり遅かった場合には多少力は使いますが「Good!」、「Pace up!」等とコミュニケーションを取ることも大切で実際に海外選手はよくやっています。今回の日本人男子集団は設定より遅かったようですが中間点は五輪内定基準タイムピッタリでは通過しています。 Bestではありませんが他の海外レースを基準にすると Betterの範囲だと思います」 今回は日本勢にとってネガティブな面が目立ったが、川内が指摘している通り、ペースメーカーはそこまで悪くない。
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