ゾロアスター教聖地チャクチャクの洞窟から滴る湧水は王女の涙 イラン
洞窟の岩肌から湧き出る水滴は、ペルシャ帝国ササン朝の王女ニークバーヌーの涙であるとも言われる。こんな伝説によるものだ。 岩山で迷子になった羊を探していた羊飼いが、疲れ果ててこの洞窟にたどり着いた。滴り落ちる水を飲み、眠りに落ちると、王女が夢に出てきて語り始めた。7世紀半ばのこと、ササン朝の最後の王ヤズデギルド3世は、イスラム軍に大敗し、王女はこの岩山へと逃げてきた。追っ手が迫るなか、窮地に追い込まれた王女が神に祈ると、山が割れ、現れた洞窟に身を隠すことができた。さらに夢のなかで王女は、羊飼いの定めとして、洞窟の中に巡礼者のための祭壇を建てることを命じたという。
逸話の真偽はともかく、こういう言い伝えには魅了されるものだ。初めて訪れる土地を、ずっと興味深いものにしてくれるのだから。 (2014年6月撮影)