「とりあえずオルカン」「投資するなら米国株」に富裕層マネー専門家が警鐘「すでにオワコンかも、という観点を」
新NISAで投資への関心が高まる中、投資先として人気なのが、米国株や米国株が約6割を占める「オルカン」です。メディアでも評価の高いオルカンを選んでおけば安心、と思っている人もいるかもしれません。ただ、投資の世界に絶対はありません。それは歴史が証明しています。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭) 【この記事の画像を見る】 ● “オルカン一辺倒”はいつか来た道? 「市場に永遠の成功はない」 現在、投資の世界では、「オルカン」と呼ばれるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)や、米国株(特にナスダックやS&P500)が注目を集めており、これらの市場に投資しておけば「間違いない!」という風潮が広がっています。 しかし、この投資戦略が未来永劫続く保証は全くありません。それは、歴史が証明しています。 今回は、過去の株式市場を振り返りながら、米国株やオルカン一辺倒になるリスクについてお伝えしたいと思います。 例えば、1970年代初頭。 株式市場を席巻していたのは、ニフティ・フィフティと呼ばれる50銘柄でした。
これらは「永久保有銘柄」とされ、多くの投資家が安心感を持って投資していました。今のマグニフィセント7(アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラ、エヌビディア)のようです。 ニフティ・フィフティとして注目された企業はどうなったのか。確かに、ジョンソン・エンド・ジョンソンやマクドナルドなど半数以上は現在も残っています。 一方で、デジタル・イクイップメント・コーポレーション(DEC)など、市場の変化に対応しきれず消滅した(DECはコンパック経由でHPに買収)企業も少なくありません。 この現象は、「市場に永遠の成功はない」という投資の格言を再確認させるものでしょう。 当時は、ニフティ・フィフティに投資していれば安心と思われていましたが、銘柄選択を誤ってその後の市場変動により大きな損失を被った投資家もいるのです。 現在、株式市場をリードするのは、マグニフィセント7と呼ばれるテクノロジー企業です。これらの企業は今、高い成長を遂げ、莫大な市場価値を持っています。 しかし、1970年代のニフティ・フィフティと同様に、未来永劫これらの企業が繁栄し続ける保証はありません。 例えば、アップルやマイクロソフトはすでに市場における成長の限界が見えてきており、新たな競争者の登場や技術革新によりその地位が揺らぐ可能性があります。Facebookを運営するメタはプライバシー問題や規制の強化に直面しており、アマゾンやテスラも競争激化や経済環境の変化に影響を受けやすい状況です。 ● リーマン前に大注目だったBRICS ロシアは戦争、中国経済は停滞…… 続いて、もう少し近い過去の例をひもといてみましょう。 2007~2008年のリーマンショック前夜。この頃は、BRICS(当初はブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国で[BRICs])への投資が盛んでした。 当時は、「BRICSに投資していれば問題ない」という安心感がありました。ニフティ・フィフティや、今のマグニフィセント7にそっくりです。 その後の経済状況の変化は言わずもがな。ロシア株はウクライナ戦争により、大幅に下落。ロシア株式市場の代表的な株価指数であるRTS指数は、ピークの3分の1程度まで落としました。 中国株は成長が鈍化。ブラジル株については、インデックス自体は上昇しているものの、日本の投資家に当時大人気だったブラジルファンドの代表である「HSBCブラジルオープン」の基準価額は、今なおリーマンショック前のピークの半分程度です。唯一インド株のみが比較的堅調な成長を続けています。