【独占インタビュー】坂東龍汰、映画『君の忘れ方』単独初主演への思いを語る
────坂東さんと西野さんが2人で傘をさすイメージカットがとても印象的ですが、何か撮影でのエピソードはありますか? 今までの作品では恋人とのシーンをたくさん重ねて、徐々に相手役との距離を縮めて感情移入していくこともあるのですが、美紀(西野七瀬)は映画の冒頭3分30秒で亡くなってしまうので、今回はそれができない。それでもちゃんと積み上げないといけないものがあると思っていて、だから西野さんと一緒のシーンが少ない中で、ラストまでどう気持ちを持っていこうか不安でした。そんなときに、監督やスタッフさんたちが西野さんと恋人役として一日かけていろんな場所に行く時間を設けて下さって。そのときに撮影した写真です。役作りする上でも、こういう時間があってほんとに助かりました。 ────『君の忘れ方』に関わる前と後で、死生観や日々の生き方に何か変化はありましたか? 難しい質問ですね。昴みたいにパートナーを亡くして喪失感と向き合う経験は無かったので。昴の人生と向き合ってきて、今後そういうことが自分の身に起きたときに映画からヒントをもらえたような、準備が少しできたような気がしています。僕と同年代の人がこの作品を観て、まだそういう経験をしてない人は、僕と同じように捉えてくれるのかなって。今付き合っている人がもし亡くなったらどうなるだろうと想像したり。喪失感を経験をしている人は、その心の痛みや傷にそっと寄り添って、そっと背中をさすってくれる、そんな映画になっているんじゃないかなって。僕自身もこの作品に出会えて、関われてよかったです。
────『君の忘れ方』はどんな方に観てほしいですか? 僕にとって、映画はものすごく助けられる瞬間が多いんです。気分が落ちているときにふらっと入った映画館で観た作品にものすごく救われたり。それはテレビも雑誌も音楽もそうなんですけど、映画はその中でも最高峰の時間が詰まっていると感じます。なので、全国民に『君の忘れ方』を観てもらいたい。死はいつかは必ず向き合わないといけないもので、だから一人でも多くの人に観てほしいです。 アメリカや海外ではセラピーやカウンセリングが当たり前にあるけど、日本ではまだまだグリーフケアの存在は知られていません。僕も生きていて悲しみを抱える瞬間はやっぱりあるし、そういうときに何かにすがりたくなります。『君の忘れ方』を通して、こういう形で心の癒し方があるんだなって、きっと多くの人がハッと気付かされる作品だと思うんです。僕も本を読んで知ったので、何かのキッカケになれば嬉しいです。 ────最後に、皆さんにお伝えしたいことがあればメッセージをお願いします。 映画のポスターを見て「観たいな」と思ったら素直に感じたまま観てほしいです。映画ってやっぱり多くの方に観てもらって、やっと一つの映画として存在し始める。『君の忘れ方』は誰かの心に絶対に届く作品で、僕らはそこまで命を吹き込む作業をしています。できることはやりました。だから、ぜひ多くの方に観てほしいです。そしてポスターを見て何かを感じたら、映画の中に答えをぜひ見つけに来て下さい。 取材・塩原桜 編集・堀田明子