前回の半減期以降、ビットコインマイニングはいかに変化したか【Future of Bitcoin】
上場マイニング企業の増加
過去4年間で、上場マイニング企業は大量に増加した。 2020年、ナスダックに上場していたマイニング企業はわずか2社だった。2024年の現在、世界中の複数の取引所にどれだけの上場マイニング企業が存在するか、把握することは困難で、少なくとも25の上場マイニング企業を誇るナスダックが圧倒的な存在となっている。 マイナーがその運営指標を市場に公的に報告するようになったことで、マイニング機器(ASIC)コスト、ハッシュレートの上昇、運営上の課題、マイニングコストなどの問題に光が当たるようになった。 さらに、世界的なハッシュレート分布のようなマクロトレンドの理解も容易になり、アナリストはマイニングの全体的なコストカーブをより体系的に理解できるようになった。ただし、上場マイニング企業は依然としてネットワーク全体の約3分の1にとどまることに注意してほしい。 残念なことに、上場企業の増加によってアナリストはより優れた情報提供が可能になったが、標準化された指標がないため、この透明性は、アナリストに一層の複雑さをもたらすものにもなった。 例えば、上場マイニング企業8社のサンプルのうち、合計20種類の指標が開示されており、中には数値が一致しないものもある。 標準化された基本指標がないため、マイナー間の比較や包括的な情報提供が難しくなっている。さらにマイナーの戦略はそれぞれに大きく異なっている。 あるマイナーはホスティングを行い、別のマイナーはインフラを所有してサービスを提供し、また別のマイナーはPPA(電力販売契約)を利用することで莫大な電力収入を得ているがビットコインの生産量は少なく、また別のマイナーは異なる形態のコンピューティングに取り組んでいる。彼らの戦略を考慮したうえで、どのように皆を「ビットコインマイナー」としてグループ分けできるのか?
今後重要性を増す分野
今後、マイナーにとってますます重要になる2つの主要分野は、販管費とオペレーショナルエクセレンスだ。 オペレーショナルエクセレンス(Operational Excellence):オペレーション(業務の管理・運用)の効率・向上を目指すことによって、競合他社が真似できない、その企業独自の優位性を保つ状態を指します。(出典:富士通) 標準化された指標をマイナーに結びつけることで、投資家がどのマイナーを最有力候補とするかを適切に評価できるよう になり、透明性が高まるだろう。願わくば、このサイクルの中でそのような動きが出てく ることを期待したい。 幸運なことに、マイニング施設は現在、オペレーショナルエクセレンスのためのより幅広い選択肢を有している。数多くのマイニングサポート会社が、ファームウェアや機器管理ソリューションを含むサービス提供を拡大してきた。これらのソリューションは、さまざまなマイニング戦略に対応する適応可能なロジックを提供する。 機関投資家への普及の高まりは、非上場マイニング企業や小規模マイナーにとってどのような意味を持つのだろうか? マイニングのための資本調達は、主に先行投資要件のために依然として困難だ。 現在、リスク管理を再定義するような強気相場へとシフトしているにもかかわらず、ビットコインETFや上場マイニング企業といった選択肢が利用しやすくなっているため、未公開マイニング企業への投資の魅力は低下している。流動性の欠如と、運営のみにリスクが集中することが潜在的な投資家を遠ざけている。 もはや勝負は、コスト曲線の下限に位置することではなく、マイナーはコスト曲線の下限に位置し、資本へのアクセスだけでなく資本コストも低くなければならない。 しかし、常に例外は存在し、マイニング業界にはレジリエントで気骨のある開発者たちもいる。弱気相場時に卓越した成長戦略をとる未公開マイニング企業や、代替エネルギー源を模索するエネルギー会社は、注目に値する有望株として際立っている。 さらに、ETFによってビットコインの正統性が高まったため、このサイクルでは大規模なエネルギー企業が信頼を取り戻し、よりオープンになるかもしれない。