青々と伸びたイグサを機械で刈り取る佐野社長

　高級畳表として知られる「備後表」に使われるイグサの収穫が2日、広島県福山市内唯一の生産者・畳表製造販売の佐野商店（同市芦田町上有地）の田んぼ（同市本郷町）で始まった。作業は3日までの予定。 　同社の佐野達哉社長（38）と「備後表継承会」（会長・佐藤圭一福山大教授）メンバーら計4人で作業。手作業で雑草を取り除き、専用の機械で高さ1メートル以上に伸び青々と育ったイグサを刈り取っていった。 　イグサは昨年11月、全国の畳職人や福山大建築学科生と協力し30アールに植え付けたが、少雨や暑さの影響で10アール分しか育たず、収穫時季も例年より1カ月近く遅れた。初参加した畳職人谷口拓也さん（49）＝広島市＝は「備後は日本一の品質といわれていた産地で、文化財にも必要とされるブランド。生産者と連携して残したい」と汗を拭った。 　備後表は高品質でかつては江戸幕府への献上品になったが、現在は担い手不足が深刻化。同会によると、栽培は福山、尾道市の各1戸のみ。備後産イグサの備後表は近年、年間500～千枚程度しか生産されていない。佐野社長は「厳選して質の高い畳表に仕上げ、来年も伝統を守りたい」と話す。