コスト高で9割が価格転嫁を要請 小規模小売業は70%台と低水準 取引慣行の実態調査
一般財団法人食品産業センターは、このほど令和5年度の食品産業における小売業との取引慣行の実態調査について発表した(調査時期は今年2月)。 原材料費やエネルギーコストが高騰する中で、「小売業者に対して、製品への適正な価格転嫁を要請したか」の質問では、全体で86.1%と高い比率で要請を実施。これを業界別でみると、全業態の中でコンビニ、ディスカウントストア、ドラッグストアが90%台と高い比率となり、百貨店、大型総合スーパー、食品スーパー、生協、通販も80%台を確保。唯一、道の駅など「その他の小売業」は78.4%と全業態で最も低い比率となった。 「小売業者への価格転嫁の要請をする前に、小売業者から価格転嫁に向けた協議の場が設けられたか(メール交渉も含む)」の質問では、大型総合スーパーや食品スーパー、コンビニ、生協、通販は「場が設けられた」「帳合卸から場が設けられた」がほぼ30%台で並び、「協議の場が設けられなかった」も各業態で30%台とほぼ同率。「協議の場が設けられなかった」のは「その他の小売業」(39.5%)と最も高かった。 製品の適正な価格転嫁については、「価格改定の交渉から実現まで時間がかかりすぎる」という意見が多く、時間がかかる理由として、競合企業の動向の確認、価格改定のタイミング、システム対応の重要性などが挙げられた。 その他の要請では、過剰発注や販売不振などの理由から、一方的・強制的な返品が多くみられ、悪天候や地震などの災害による納品時間に間に合わなくなった際に、返品となる事例も多く寄せられた。 また、昨年と同様、店舗納品期限1/3ルール関連のルール緩和が進んでいない事例が多く寄せられた。