春節も「24時間営業」 中国のセルフサービス書店
【CNS】中国沿海部の浙江省(Zhejiang)台州市(Taizhou)天台県(Tiantai)にある「逢祥書店」は、春節(旧正月、Lunar New Year)も帰省した学生たちで大にぎわいだった。 店主の王逢祥(Wang Fengyang)さんが、仕事先で天台出身の画家に出会ったことが事の始まりだった。趣味も近く気の合った2人は一緒に旅したり、美術展や本の展覧会を訪れるたりするようになった。 2015年に江蘇省(Jiangsu)常州市(Chagzhou)を訪れた王さんは、たまたま24時間営業のセルフサービスの書店を訪れた。 「川のほとりで軽快な音楽を聴きながら本を読む。とても素晴らしい気分でした」と王さん。故郷の人々たちにも無料で本を読んでもらうためのチャリティー書店を立ち上げたいとの衝動を抱いた瞬間だった。 それまで王さんは多くの書店を訪れていたが、本を読んだり買ったりすることに気を取られ、店内の装飾やレイアウトに関心を払ったことはなかったという。その後、上海市や蘇州市(Suzhou)などの人気書店を訪れ、学ばせてもらった。田舎にある理想的な読書空間が徐々に彼の頭の中に形作られていった。 2016年9月、王さんは故郷に戻り、貯金を全てはたいて書店を建てた。実家と叔母の家をつなぎ、建材市場から古い床を購入して、家の外観を可能な限り復元した。 「最小限の変更で、その土地の建築の美しさを強調したかった」。本棚の素材から空間デザイン、本の配置に至るまで、王さんは全て自分で行った。当時、田舎にある書店はまだ斬新であり、口コミで多くの人たちが訪れるようになった。 「逢祥書店」に入ると、入口の本棚には500冊以上の漫画が並び、子どもたちの人気エリアになっている。壁いっぱいの本棚がカテゴリーに分けられ、書籍が整然と並べられている。木の階段を上がって2階へ上がると、木製の梁、青いレンガの壁、古めかしいテーブルと椅子、柔らかな照明が調和し、懐かしさを感じさせる。 壁に貼られた写真やメッセージは、読書によってもたらされた美しい思い出を物語っている。 「読者に家で本を読んでいるような気分を味わってもらいたいと思っています」と王さん。この書店にはさまざまな種類の本6000冊以上が集められ、無料で24時間一般公開されている。 現在、「逢祥書店」は地元の有名なランドマークとなっている。王さんはここで100以上の書画展、写真展、読書会などを企画・運営し、田舎に文化を醸している。(c)CNS/JCM/AFPBB News ※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。