まちクラブが国立競技場で!?「楽しいこと」を重視するFCコラソンの流儀
全国各地から集まった3,200名
ただ、国立競技場はいくらで借りられるのか、そもそもまちクラブが借りられるのかも分からない。また、本田は引退後、FC岐阜のトップチームコーチに就任したため、オフシーズンでなければ実現は難しかった。頓挫しかけた時期もあったが、さまざまな人の手を借り、2023年に入ってようやく同年12月17日の開催が決まった。 本格的な準備が始まったのは、2023年9月になってから。以前から縁の深い品川CC(カルチャークラブ)に対戦と運営協力を依頼し、代表の吉田祐介氏よりイベント運営会社やクラウドファンディングプラットフォームを紹介してもらい準備を進めていった。大感謝祭は、おもに3つの試合で構成された。長い付き合いのあるブラジル・サンパウロFCのU13チームとFCコラソンU12チームとの試合、FCコラソンのトップチームと品川CCの試合、そしてこれが引退試合となる本田拓也をはじめFCコラソン・品川CC両者のOB・OGを集めた試合。また、お互いのOB・OGが参加した試合にはプロを経験した選手が出場することに合わせ、MCや審判にもプロを用意した。 いよいよ大感謝祭の週を迎えると、工藤は何も考える余裕がないほどに多忙となった。すべての準備が完了しているか何度も確認を繰り返し、それでもなおも心配が絶えない。加えてサンパウロFCのU12チームが来日し、付きっ切りでのアテンドも必要だった。その週の忙しさを物語るエピソードがある。 「大感謝祭当日、開会の挨拶をしなきゃいけなかったんですけど、考える余裕がなく何も考えないままマイクの前に立ちました。頭真っ白の状態で、自分が何を話したかもあまり覚えていません」
大感謝祭当日は快晴。12月のため暖かいとは言い難かったが、気温も予想より高かった。有料のイベントに対し、会場には3,200名ほどの人が集結。まちクラブのイベントとしては驚異的な人数といえる。 「全国各地から、予想以上にたくさんの人が見に来てくださいました。春や夏に遠征で行く宮城や福岡の親戚、石川からも大学の友達が来てくれました。また、大型ビジョンを使いプロの試合のような演出を用意したんですけども、演出があると思っていなかった方から、感動したという声をたくさんいただきました」