「ニラレバorレバニラ」中国ではどっちで呼ぶ? 実は“似て非なる”「中華料理」と「中国料理」の世界
生活に根付く「医食同源」意識
中国人は「医食同源」、食事と医療は同一だという考え方を強く持っています。これは何千年もの間に中華民族の常識と化していて、今でも生活に深く浸透しています。 日本語において「肝心要(肝腎要)」とは、特に重要なことを表しますが、これも肝臓と腎臓が重要な臓器であることから始まっています。 中国も同様です。中国語の「百病不離肝」とは、「病気のすべては肝臓に依る」という意味になります。特に夏の終わりから秋のはじめ、季節の変わり目には代謝が滞りがちになるため、肝臓の働きも衰えてきます。しかし、肝臓さえしっかり機能できていれば、睡眠不足に陥ることも少なく、いい精神状態を保つことができるといいます。肝臓が健全に機能すると、精神も穏やかで怒ることが少なくなるのだそうです。 そんな大切な肝臓に有益な食品の筆頭が、レバーです。レバーは貧血改善に一定の効果があることはよく知られていますが、中国では肝臓の代謝能力を高め、体内の毒素の排出を促してくれる、健康促進に欠かせない食品といわれています。 レバーの他、肝臓の働きを健全に保つ野菜類というのもあって、代表的なものとして、ニラ、セロリ、ブロッコリー、カリフラワーなどが挙げられています。つまり、ニラレバ炒めは、臓器の中でも非常に重要な肝臓の働きをよくする料理といえるのです。 「医食同源」という観点からすると、ニラレバ炒めは、肝臓、ひいては健康維持に最適のメニューなのかもしれません。
ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家 青樹明子