「ニラレバorレバニラ」中国ではどっちで呼ぶ? 実は“似て非なる”「中華料理」と「中国料理」の世界
「ニラレバ」「レバニラ」どっち?
日本の庶民に支えられ、愛されてきた日本風中華「町中華」ですが、ラーメン、ギョーザに並んで人気のメニューが「ニラレバ炒め」です。 「ニラレバ」が正しいのか「レバニラ」が正しいのか、諸説あるようですが、漫画家・赤塚不二夫さん原作の漫画「天才バカボン」の影響による説が根強くあります。 バカボンのパパは、「太陽は西から上って東に沈む」など逆を好む思考の持ち主で、当時日本で流行し始めていた「ニラレバ炒め」も「ニラレバじゃない、レバニラだ!」と主張する…というくだりがあるようです。後にアニメ化されたときも「ごちそうはレバニライタメなのだ」という回があるほか、バカボンのパパのセリフとして、「レバニライタメ知らないとはおまえそれでも日本人なのか?」などというのが登場して、若者を中心に広まっていったといわれています。 ということは、日本に持ち込まれた際は「ニラレバ炒め」だったということになりますが、中国のオリジナルはどうなのでしょうか。 結論から言いますと、中国でも「ニラレバ炒め」と「レバニラ炒め」、どちらも正しく、同じように普及しています。あえて言えば、「ニラレバ炒め」の方がやや一般的か、と思われる程度です。「レバニラ炒め」の名称は、日本から逆輸入されたと考えてもいいかもしれません。 しかも、日本の町中華と、本場中国とはかなり違いがある中で、その差が比較的少ないという珍しい例だといっても過言ではありません。
中国人に聞く「ニラレバ炒め」の作り方
日本でニラレバ炒めは、町中華をはじめとする小規模店舗、またラーメン店などで定食として多くみられます。中国も同様で、個人経営の小さな店や、学生食堂、会社の社員食堂、そして“家常菜”といわれる家庭料理として人気で、大規模な中国料理店ではあまり扱っていないメニューといっていいでしょう。材料も味も、日本と中国でほとんど違いはないといえます。 唯一の違いは、先述のように、中国では家庭で作られることも多いことに比べ、日本ではほとんどが外食として、ラーメン店など町中華の店舗で食べられていることです。家庭で作るというのは少数派で、その理由を、中華大好きという日本人女性に聞くと「自分で作るより外で食べた方が絶対おいしいから」と言います。 「回鍋肉(ホイコーロー)や青椒肉絲(チンジャオロースー)は自宅でもおいしく作れるけど、ニラレバ炒めは作れない。日本人はレバーの処理に慣れてないですから」 その通りで、日本のスーパーで生のレバーが売られているのは希少です。中国の場合、自由市場でもスーパーでも、普通に売られています。ニラレバ炒めで使用される、豚、牛、鶏のレバーは、それぞれ血が残ったままパッケージされているので、家庭で作る場合、まずはレバーの洗浄から始めなければなりません。日本人がニラレバ炒めを家庭で作らないのは、レバーの下処理が面倒だからともいえます。 中国の友人から聞いたニラレバ炒めの作り方は、おおまかに言うと、こうなります。 (1)薄くスライスした豚(牛・鶏)レバーに片栗粉10グラム、料理酒大さじ1を振る。2分ほどもみこみ、血を抜いたらそのまま10分ほど置く (2)ニラ、ニンジン、もやしなどを準備する (3)(1)のレバーをよく洗い、血を洗い流す (4)調味料を加えつつレバーを炒め、色が変わったら取り出して、野菜を炒める (5)レバーを加えたら出来上がり 最も手間がかかるのはレバーの処理ですが、それでもやっぱり、栄養豊富なレバーは欠かせない食材なのだそうです。