【スプリンターズS】トラックバイアスから分かる「買ってはいけない馬」「買うべき馬」/キーンランドC編
[GⅠスプリンターズステークス=2024年9月29日(日曜)3歳上、中山競馬場・芝外1200メートル] 内が伸びる芝、外差しが決まる芝…。馬場はまるで生き物かのように、日々変化する。そこから生じる馬場の傾向が「トラックバイアス」。朝から芝に足を踏み入れてコンディションを確かめるジョッキー、調教師…。彼らはそれが競馬の勝敗に影響を与えることを分かっている。当然、予想のファクターとしても軽視すべきものではない。当欄はトラックバイアスから〝レースの真実〟を解き明かし、買うべき馬、買うべきではない馬をあぶり出すのがテーマだ。
【キーンランドCのトラックバイアス】
この日(8月25日)、札幌でキーンランドC発走前までに芝レースは5鞍。その1~3着馬が直線で内ラチから何頭分外を回ったかのおよその平均値を出したのが以下のものだ。 1着馬=約4・2頭目 2着馬=約4・6頭目 3着馬=約4・2頭目 馬群の大外からの差し切りを決めたのは1勝クラス、芝1500メートルのチュウワダンスだけ。基本はロスなく走った馬が上位をにぎわした。当時はAコースからCコースに替わってまだ2週目。内が伸びる馬場だったのは間違いない。キーンランドCで敗れた外枠の騎手からは「もっと枠が内だったら…」という話が続出した。
【買ってはいけない馬】ナムラクレア
キーンランドCの勝ち馬サトノレーヴは勝負どころで内から2頭目をロスなく回って、直線は内から4頭目を走るロスの少ない走り。トラックバイアスの恩恵も受けたといえるが、それよりも距離ロスのない走りをしたのが5着ナムラクレアだった。1枠からずっと内ラチ沿いを走って直線も最内を突く形。確かに半ばで他馬と接触する不利はあったが、それとて鞍上が大きくブレーキをかけるようなものではなく、スペースができてからビッシリ追い込んでいる。それでいて、これより外を回った3頭に差されたのはちょっと物足りない。「不利」というキーワードで5着敗戦が帳消しにされ、それなりに支持を集めるようなら危険な人気馬になる。
【買うべき馬】オオバンブルマイ
一方、トラックバイアスに反抗するように直線大外から追い込んで3着したオオバンブルマイは〝買うべき馬〟だ。直線入り口で馬群が横に大きく広がったことで、同馬は内ラチから15、16頭分外に進路を取ることを余儀なくされた。もう一頭、この日大外から馬券に入った前述・1勝クラスのチュウワダンスが内から約12頭目だったから、オオバンブルマイが通ったコースはこの日の札幌芝で最も外だ。内伸びのトラックバイアスであれだけ外を回って馬券に絡んだのは驚異。本番でも要注意の存在だ。
東スポ競馬編集部