ファーストサマーウイカ、清少納言役好演の大河は「飛び級した感覚」闇落ち→解放など、役の一生背負う難しさ痛感
女優でタレントのファーストサマーウイカが、放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」(日曜・後8時)で清少納言役を演じ、好評を博している。このほどスポーツ報知などの取材に応じ、同役のキャラクターの変化などへの思いを語った。(奥津 友希乃) 【写真】「闇落ち」と話題になった第41回の毒を吐くシーン 「源氏物語」の作者・紫式部/まひろ(吉高由里子)の半生を描く同作。ウイカは「枕草子」の作者で知られ、亡き中宮定子(高畑充希)や、定子の遺児・敦康親王(片岡千之助)、第一皇女の脩子内親王(海津雪乃)に仕える、清少納言/ききょうを好演している。 このほどクランクアップしたウイカは、初出演の大河で大役を演じ抜いた日々を「あっという間でした。ききょうという荷を降ろさず生き続けるための緊張感が常にありましたし、わくわくもした一年でした。今からもう一度(クランクインに戻って)撮りたいくらい」と充実の表情で振り返る。 初登場時から、まひろに対する勝ち気で歯に衣着せぬ物言いが話題に。一方で、定子の死後もその思慕の強さが根底にある役どころ。自身にとって、ききょうはどんな存在だったのか。 「他人のように思えないし、親近感を持って接していました。ききょうに出会っていない人生は怖いなと思うくらい一生の財産ですし、『光る君へ』に出ていない俳優人生は考えられない。“ききょう”ってタトゥーを入れてもいいくらい、刻み込まれている役です」 第41回(10月27日放送)では招かれていない歌会に押しかけ、中宮彰子(見上愛)に毒をはく姿が話題に。東宮になれず藤壺を離れた敦康親王を思うあまりの言動ではあるものの、SNS上では「カチコミだ」「ききょう闇落ち」との声が広がった。 ウイカもききょうのキャラクターの変化に複雑な思いもあったようで「ききょうにとっては定子が『光る君』だった。その“光”がいなくなって闇に落ちたんじゃなくて、闇に包まれてしまったんだと思う。『私だったらこういう振る舞いはしないな』と思わざるを得ないシーンもあったけど…」と率直に語る。 初夏に行った取材会では「自分を見ているよう」と分析するなど、“共感”を大きな要素にして演じた同役。一方、物語が佳境にさしかかるにつれて、役の一生を背負う難しさも痛感した。 「自分にとって大事な人とか仕事とか、光となっているものを失った時に自分ならどうなるか、考えさせられました。最初に覚えた親近感から、かなりグラデーション(段階的な変化)はありましたね。ききょうの年齢を自分はまだ経ていないし、光を失った経験もないから、真の意味でききょうを理解していないからこそ、乖離している感覚もあるんだろうなとも思いました」 この日(10日)放送の第43回でききょうは、穏やかな表情で「恨みを持つことで、己の命を支えて参りましたが、もうそれはやめようと思います」と発言。長年抱え続けた感情から、自らを解放する様子が映された。 「(台本を読んで)『突然、牙抜けたあ!』と思いましたよ。つきものがとれたと言いますか…。でも、人間って急に糸が切れる瞬間ってありますよね。諦めとか体力の限界とかで、ぷつんと。描写するまでもない刹那の出来事というか。恨みや妬(ねた)みの人格が消え去ったんでしょうね」 今作を経て、女優業への意欲は一層強くなっている。 「この一作品で役者としては飛び級したような感覚もしますし、『一石何鳥?』ってくらい学びがありましたね。芝居のためだったら丸坊主にするかもしれない、それくらい何でも挑戦したい。“来るもの拒まず、去るもの追う”みたいな。欲張りにやりたい」と貪欲な思いをのぞかせていた。
報知新聞社