イヤな状況から“ベストリカバリー”するためのクラブを持ってますか? スコアメイクのためのセッティングをフィッターと考えた!
ラウンド中、さまざまな状況に遭遇するのがゴルフ。そういった状況に対処しやすいクラブを持つこともスコアメイクに役立つとギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人はいう。
思わぬシチュエーションに対処できるクラブを持っておきたい
クラブフィッター小倉です。今回は、クラブセッティングの考え方についてです。突然ですが、皆さんは、エキストラショットを前提としたクラブは、持っていますでしょうか? エキストラショットを前提としたクラブとは、たとえば、バンカーが苦手なゴルファーであれば、バンカー専用のウェッジ、狭いホールのティショット用のFWといった、一定の条件だけで活躍するクラブのことです。専用のクラブでなくても構いません。困った時にはコレ! という具合に難しい状況で活躍してくれるクラブと思っていただければわかりやすいでしょうか。 なぜこんな話をするのかといいますと、コースで思わぬシチュエーションになった時に対処できるクラブを持っていないゴルファーが多いなと感じたからです。特にそう感じるのが、低い弾道を打つためのクラブです。昨今のクラブはどれも楽に高さが出せて、安定して飛ばせるモデルばかりです。 そういったクラブのほうがやさしいですし、スコアメイクにつながりやすいのも事実です。ですが、林の中からの脱出するためや、張り出した枝の下を通すショットなど、低い弾道を打たざるを得ない場合に、そういったクラブでは、ロフトの立ったアイアンでさえ、自然とボールが上がってしまいがちです。チョコンと出すぐらいなら問題ないですが、30ヤード以上をキャリーさせようとすると自然と高さが出てしまい、枝に触れてしまいます。 テクニックでカバーできるゴルファーならよいですが、低く打てるクラブを1本持つだけでそういったシチュエーションがとても楽になるのに、意外とそういった状況に対応するクラブを持っているゴルファーはいません。 以前お客様に、古い3番アイアンをそういった状況で使いやすくするように改造したことがあります。その時は、9番アイアンの長さで重さとライ角を調整し、ハーフショットでランを含めて100ヤードぐらいを低い弾道で飛ばせるクラブをイメージして作ったのですが、そのお客様には大変喜んでもらえました。 さすがにこれは、非常にレアなケースですが、フォージドモデルのロングアイアンとか、ロフトの立ったチッパーなど、14本の中にそういった低く打てるクラブが1本でもあると、いざというときに活躍してくれるのではと思っています。 もちろんそういったエキストラクラブに頼らず、今使っているクラブで対応できるならそれでもかまいません。例えば3番ウッド。普段フルショットしかしないクラブですが、芝の上から打つクラブのなかで、最もロフトが立っているクラブですから、アプローチショットのように使えば、低く強い弾道が打てます。 もちろんそういった弾道を安定して打つには、それなりの練習も必要です。それはエキストラクラブを手に入れても同様で、ある程度の練習は必要になりますが、やっぱり専用のクラブがあると、自信と安心感を持って対処できます。いいライから、ベストショットのためのクラブもよいですが、悪いライから、ベストリカバリーのためのクラブも考えてみるとまた違ったゴルフクラブの面白さを発見できるかもしれませんよ。
小倉勇人
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