自民総裁選、始まった論戦 安倍氏と石破氏の対決軸
●6年の実績と謙虚さ
安倍首相は、2012年9月の総裁選で石破氏らを破り、総裁に返り咲いた。自民党はその年12月の衆院選で民主党(当時)から政権を奪還。そして第2次安倍内閣が発足した。 それ以来、6年弱政権を担い続けておる安倍首相は自らの実績を列挙した。▽生産年齢人口が450万人減少する中で経済は12.2%成長、▽雇用は250万人増加し正規雇用も78万人増えた、▽正規雇用の有効求人倍率が1倍を超えて過去最高――。 安倍首相は「北は北海道から南は沖縄まで、全て47の都道府県で有効求人倍率は1倍を超えた。これは高度経済成長時代にもバブル時代にも実現できなかったこと。ようやく景気回復の温かい風が地方に届き始めた今、地方税収は過去最高の40兆円になった」と述べた。 政権交代後、国と地方を合わせた税収は24兆円増加。2017年度の税収総額は58兆7800億円で「過去最高にも近づいている」。国債も11兆円減額をしてきたとした。 今後も引き続き、「今まで進めてきたデフレからの脱却、経済成長、3本の矢をしっかりと射続けていきたい」と訴えた。 2015年に発表した「新3本の矢」では、(1)国内総生産(GDP)600兆円、(2)出生率1.8、(3)介護離職ゼロ、を掲げた。GDPは政権交代前後より60兆円伸びているとし、「2020年代くらいに600兆円を達成したい」と見通しを語った。介護離職ゼロに関しては、「介護しながら仕事している人は60万人ほど増えているが、介護離職は減少している」と述べ、「全世代型の社会保障制度」に転換していくことが出生率のアップにもつながるとした。 野党などが批判する「格差」問題についても、数字で反論した。「8割台だった生活保護世帯の子どもたちの大学進学率は初めて9割を超えた」「1人親家庭の子どもたちの大学進学率は24%から42%へと上昇」「子どもの相対的貧困率は政権交代後に初めて減少に転じ、大幅に改善した」。 一方で、経済成長や景気回復に対して「まだまだ実感ないという人がたくさんいることはよく承知をしている」と言及。ここまでの政権運営について「さまざまなご批判もいただいた」「確かに私は至らない人間。改めるべき点は改め、謙虚にそして丁寧に、政権運営を行っていきたい」と所属議員に向けて語る場面もあった。