円安で経済や生活への影響は―1ドル100円台突入
一時75円台をつけた円高を脱し、円安傾向が続いています。5月9日午後のニューヨーク市場で、節目となる1ドル100円を突破しました。トヨタ自動車は、「米ドルに対して1円円安になると400億円ほど利益を押し上げる効果があった」(同社広報)そうです。円安の恩恵を受け業績が良くなる企業がでる一方で、物価上昇の足音も聞こえます。わたしたちの生活は、円安でどんな影響を受けるのでしょうか。
そもそも円安とは「外貨に対して円が安くなる」こと。「安い」と聞くと数値が小さくなるイメージですが、1ドル=75円の場合、75円出せば買えていた1ドルの商品が、100円出さないと買えなくなるのです。同じものを買うのに余計な円を払わなければいけないので、円の価値が下がる=円安と表現します。
輸入品の物価は上がる
それは、わたしたちにとって、身のまわりの商品が徐々に値上がりしていくことを意味します。たとえば、大豆や小麦粉を使った食品(パンや麺など)、食用油などの食品、ティッシュなどの生活用品、さらに外食産業の価格が高くなっていくことが考えられます。5月8日にはキユーピーがマヨネーズの値上げを発表しました。マクドナルドのハンバーガーは、5月7日より値上げされて、従来の100円から120円になりました。 電気・ガス料金も同じです。液化天然ガスや石炭といった燃料を輸入にたよっているため、円安の影響が毎月の電気料金にはねかえってくるのです。そのほか、海外旅行や海外のブランド品も円安の影響を受けるでしょう。 原料を輸入し、加工して国内で製品を販売する業者にもつらい状況をもたらします。海外からの仕入れコストが上がるので、商品を値上げするか、利幅を減らさざるを得ません。実際に、製紙大手の日本製紙や王子製紙は、円安によって原材料価格が上がって収益を圧迫しているため、ティッシュやトイレットペーパーなどの値上げ交渉をしています(4月8日付msn産経)。