円安で経済や生活への影響は―1ドル100円台突入
業績が上がる企業も
円安が進むと、原材料を加工して付加価値を付けた製品を輸出する企業や、海外での売り上げが大きい企業は有利になります。より安く売ることができたり、円に換算した売り上げや利益が大きくなるからです。たとえば、自動車、電機といった分野の企業は、業績を伸ばしやすくなります。 5月8日に決算を発表したトヨタ自動車の場合、円安ドル高に代表される為替変動が営業利益に対して1500億円の上ぶれ要因となりました(2013年3月期)。トヨタ自動車の4月の販売台数(軽を除く)は11.2万台と4月としては過去2番目の水準で、エコカー補助金が実施されていた前年同月と比較しても105.3%だったそうです。 キヤノンは4月24日に業績の上方修正を発表しました。同社の決算発表資料によると、価格競争の激化など環境は厳しいものの、利益計算の前提となる為替レートを円安に見直すことで、これまでの見通しと比較した2013年12月期の営業利益の増分が為替影響分だけで1290億円にのぼる見通しになりました。同社では、ドルに対して1円の円安が、売上を150億円、営業利益を58億円押し上げる効果があります。
給料はどうなる
円安が進んだ要因のひとつとしてあげられているのが、アベノミクスによる「大胆な金融緩和」です。世の中に出回るお金が増えて金利が下がり、円が売られて円安になるとされています。 旗振り役である安倍首相は、5月7日の参議院予算委員会で「賃金より先に物価が上がる可能性が高い」と指摘しています(5月7日付ロイター)。円安の恩恵を受ける業界はともかく、少なくとも恩恵を受けられない業界では給料は上がらないのではという見方もあります。上がるにしろ、上がらないにしろ、円安はわたしたちの給料にも直接つながっているのです。