放置すれば10万円以下の罰金も!「相続登記義務化」で何が変わる?
所有者がわからないまま放置されている土地問題を解決するため、土地や建物を相続する際の登記の義務化が今月から罰則付きで始まりました。近年、不動産を持っていた人が亡くなっても、相続登記がされないケースが数多くあり、所有者不明土地問題として社会問題になっていました。4月11日放送の『CBCラジオ #プラス!』「ニュースにプラス」のコーナーでは、アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に、相続登記の義務化について詳しく伺いました。
タイムリミットは3年
土地や建物などの不動産は、所有者が誰でどこにあるのかという情報が登録されています。この制度が「登記」です。 「相続登記」とは、亡くなった方の名義になっている不動産の登記の名前を、相続した方の名前に変更する手続きのこと。これは不動産を相続した方がする手続きです。 これまでは義務ではなく任意で、罰則もないことから行わない方も多くいました。 しかし今回の義務化によって、不動産を相続したことを知った時から「3年以内」に相続登記を行わない場合には、10万円以下の過料が課される可能性がある、と変わったのです。
「所有者不明土地」問題
これまで「亡くなったのに相続登記されない」というケースが多く発生しており、登記簿を見ても誰の土地かわからない「所有者不明土地」が全国的に増加していました。 相続登記の義務化は、この問題に対処するための改正です。 不動産が放置された場合、雑草が生い茂ったり不法投棄が増えたりと、周辺環境に悪影響を与えることも多くなります。 災害が起きても所有者がわからず、復興作業がなかなか進まないことも。 相続登記を義務化することで不動産の所有者を明確にして、こういう問題が起こらないようにするという意味があります。
相続登記がないと売買できない
相続登記をしないと相続ができないというわけではありませんが、相続後の管理が難しくなるそうです。 一番大きいのは「売買ができない」ということ。 法律上、不動産の所有権を第三者に主張できるのは、登記がされている人のみ。 相続した不動産を早く売ってしまいたいという場合も、売主(相続した方)の名前が登記上にないため、本当に所有者かどうかがわかりません。 売主が登記を持っていない以上、買主は登記を移してもらうことができないため、不動産の売却ができない状況になってしまいます。